いろんなこと考えさせられる『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
今年一発目は結構ヘビーな映画だった。
ものすごい緊張感のあるサスペンスでありながら、正義とは何か、正しい判断とは何か、戦争の在り方について、強く突きつけられる映画でした。
まあとにかく始まって30分くらいあたりからずーっと最後まで緊張感がとにかくハンパなかった。
公開初日だったので結構お客さん入ってたんだけど、年末に観た『ドント・ブリーズ』と同じく映画が終わってからも館内は水を打ったように静かでした。
予告編を見てもらえば内容はほぼそのまま。
ひとりの少女を救うべきか、これから行われるテロの犠牲者(推定80名)を未然に防ぐため攻撃すべきか、いろんな立場のいろんな利害関係の人たちが、刻一刻と迫る状況を前に判断を迫られるという内容。
この映画も『シン・ゴジラ』と同じく政治フィクション(ほぼノンフィクション?)で、密室での会話劇がメインになっている。戦闘シーンはほんの少しだけなんだけど、その究極の選択に行き着くまでのハラハラ・ドキドキがものすごい。
政治家と軍人がそれぞれの立場で相手を説得させるための駆け引きがじっくり描かれているんだけど、トータルで見ると政治家は無責任というか卑怯な感じに見せて、軍人側の苦悩を強調して描いているように見えた。でもどちらが良いとか悪いとかいう映画ではない。
タイトルにもあるアイ・イン・ザ・スカイ(上空の目)というのは、もちろんドローン(攻撃機や遠隔操作カメラ)のことなんだけど、テロリストたちの厳しい監視下にある中東やアフリカの人々と、安全な場所から攻撃している欧米側の状況(朝コーヒーを飲んで出勤したり、孫にお土産を買うのに忙しかったり、奨学金の返済のために入隊していたり)を明確に見せていて、この状況のいびつさの方が強調されていた。
正面に窓のない不気味なルックの無人監視攻撃機
この映画が強烈なのは、今現在起こっているテロ問題や、実際に使われていると思われるドローンによる監視と遠隔攻撃が事実に近いからであって、決してフィクションではないと思いながら観ているからだと思う。
でも、あくまでもこれは映画であってドキュメンタリーではないので、映画的な展開(演出)が随所に入っていてサスペンスとしても非常に楽しめるというか、そこがなんだかモヤモヤした気分として残ってしまった。
クソ重いテーマなのに、エンタテイメントとして楽しめる作りになっているのはどうなの?的な…。ドローンでの監視の見せ方も非常にゲーム的だし、ああいいうの普通にドキドキして楽しんでいるよね?
ほんと見終わってからもいろいろ考えてしまった映画ではありました。
主演のヘレン・ミレンやブレイキング・バッドのアーロン・ポールはとても良い演技ではまり役な感じで良かったですが、何と言っても今年急逝したアラン・リックマンがいい味だしているのが余計に残念。
あ、まったく関係ないですが、年寄りは「アイ・イン・ザ・スカイ」と聞いたら、アラン・パーソンズ・プロジェクトの曲のほうをどうしても思い出してしまいますよね。
今聞いてもとても良い曲ですね。
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アラン・リックマンは 今ではハリー・ポッターのほうが有名かもしれませんが、自分的にはやっぱりダイ・ハードのハンス役が一番好きだなー。
映画には何の関係もないですが若い頃はよく聞いてました。
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