観た映画:ムーンライト
アカデミー作品賞という売りがあるにもかかわらず、地元では上映館、スクリーンは1つのみ。
平日の夜の回とはいえお客さんも数名くらいしかいなかった。
まあ、見た目も地味だし、内容的にも日本人には受けにくいだろうし、そもそも予告見てもどんな映画なのかもよくわからないですよね。
自分も、黒人男性の半生を赤裸々に描いた作品なのかな?くらいの情報量で観に行きました。
基本的にアホな映画でゲハゲハ喜んでいる人間なのでw、正直ストライクゾーンからはちょっと離れた映画でした。
なので、すでにどこにでも紹介されているフツーの感想くらいしか書けませんが、とりあえず感じたことをつらつらと。
まず、とにかく絵がキレイ!。
色んなとこですでに書かれてますが、白い部分をデジタル処理して青みを加えているらしい。それが黒人の肌の表現とすばらしくマッチしていて、とにかくもう画面がキレイ。
意識しなければ普通に流して見れるんだけど、いったんその画面の綺麗さに目が行くと、ストーリーそっちのけでずっと画面全体をボーっと眺めてしまうほどw
色だけじゃなく、フロリダの燦々とした太陽の眩しい感じとか、被写界深度が極端に浅いカメラとか、全体的にふわふわと心地よい絵になっている。
しかし対象的に、主人公の置かれている立場や環境は厳しく絶望的なので、その落差がなんだか不思議な感じだった。
主人公のシャロンは小さい時からマイノリティとしてイジメられ、自分のことを理解してくれる人はほとんどいない。
そんなシャロンの心情を、いかにもな見せ方ではなく、セリフで表現するでもなく、仕草や目線や動きで丁寧に淡々と見せていく。
なので、じっくり味わうように丁寧に観て感じ取っていく必要があるので、それなりに観客を選ぶと思う。
自分もその辺ちょっと弱いのでw、少し退屈に感じるとこもあった。
黒人、ゲイ、貧困層、などのマイノリティを全面に出しているのかと思いきや、それはあくまで要素であって、スパイク・リーのような強い社会的メッセージはあまり感じなかった。
どっちかというと恋愛とか人を愛することで生まれる内面から湧いてくる喜びとか希望?みたいなのがテーマなのかなという映画でした。
きっとシャロンの気持ちにシンクロできる人には、美しい映像とあいまって、忘れられない映画になったりするのかも。
自分はこれまで生きてきてイジメにあった経験も無いし、ハードな生活環境でもなかったし、多少の孤独感はあったけど疎外感みたいな辛さを味わったことはほとんど無い人間なので、少なくともこの主人公に共感できた、とかしたり顔で語る資格はないかな…w