今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

観た映画:ローサは密告された

ネットで高橋ヨシキさんが絶賛してる記事をたまたま見て興味が湧いたので、映画の招待券も余ってたし観てきた。

ざっくりと、フィリピンが舞台で麻薬絡みでヤバイ映画、という感じだったので、少し前にNETFLIXAmazonプライムビデオかなんかで見たメキシコ麻薬戦争モノの「カルテルランド」や「皆殺しのバラッド」のような映画なんだろうなと思ってた。

まあ、さすがにメキシコのように人がバンバン残虐に殺されたりということもなく、方向性はちょっと違っていたけど、それなりにズシンと来る映画だった。


『ローサは密告された』予告

ちょっとネタバレっぽいことも書くので気になる人は以下見ないで下さい。
まあ、そんなに影響はないと思うけど…。

 

まずびっくりするのが、この映画は上記のメキシコ麻薬戦争ものと違うのは、「ドキュメンタリー映画じゃない」ってところ。

いや、確かにどこにもドキュメンタリー映画だなんて書いてないけど、あまり深く考えずに観ていると、普通にドキュメンタリー映画にようにしか見えない。

それくらいリアル感がすごい

もちろんマニラの貧困街なんて行ったことも無いのでリアルかどうかわかんないけどw

エキストラは除いたとしても、これ出演者は全員ちゃんとした役者なんだよね?って疑うレベル。ホントに溶け込み方がすごい。作りもの、セット感も一切無し。

映画っぽい演出(何かを暗示させるような見せ方とか、ちょっと感動的な見せ方とか)はほとんどない。いや、あったかもしれないけど、わざとらしさとか全然ない。

でも最後の最後、ラストシーンあたりでちょっと感情に訴えかけるような見せ方してたかも。なんとなくだけど監督の意図とかを伝えようとしているなと感じた。

とにかく、映画的な説明が一切無い感じ。

主人公のローサというおばちゃんをカメラがドキュメンタリーのようにずっと追いかけ回すだけで、すべてが理解できるような作りになっている。

家族構成から、夫婦や子供との力関係、ご近所さんとの関係、何を商売にしているかとか、セリフでの説明が無くてもちゃんと伝わる。

フィリピンの警察もまたスゴイ…。さすがドゥテルテ大統領の国、と思わざるをえないというリアル。こんな映画が作られても地元警察から抗議とかこないのかなw

あの警察署のウラの部屋でたむろしている少年たちは一体どういう人たちなんだろうか?そういう説明も一切ないけど、なぜかそれがフィリピンのヤバイ状況を現していることなんだというのは伝わる。

また、この映画はただの刺激的な犯罪映画というだけではなく、貧しいながらも助け合う家族や周囲の人たちも映し出しているところがスゴイ。

果たしてマニラの貧困街に住んでいる人より豊かな我々が、自分を顧みず困っている人を助けようという気持ちがどれくらいあるのか。

映画の中ではそういうのを強調して語っているわけではないけど、じんわりそういうことを気づかせてくれる。

これはなかなかハリウッドや日本では真似出来ない映画なんだろうなと思った。

 

http://www.bitters.co.jp/rosa/assets/img/img_story_01.png

ところでフィリピンの人って沖縄の人にどことなく似てる。
主役のローサなんて沖縄の市場とか行けば似てる人いるし、親戚とかにも似た感じの人はいるw
南国の暑いとこだからTシャツ短パンにビーチサンダルなとこも似てて、なんだか数十年前の沖縄もこんな感じだったんだろうな。貧しいながらも助け合うってとこも同じだろうし。

でも今はもうだいぶ沖縄も豊かになって変わっちゃったかもね。