今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

観た映画:シェイプ・オブ・ウォーター

  第90回アカデミー作品賞、監督賞とまさかのダブル受賞!驚きましたねー*1

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昔むかし、スピルバーグがオスカー狙いで?社会派な映画を撮り始めた時、ちょっと残念に思った記憶があります。
その頃の自分にとってアカデミー賞なんて特に面白いものでもなく、「そんなの狙わず面白いアクション作ってよ!」なんて気持ちでした。

今ではすっかり大人な気持ちで受けとれるようになったのでw、アワード系はお祭りとして楽しめてますし、観たい映画やドラマの参考になったりしてます。

ただ、去年のラ・ラ・ランドじゃなくてムーンライトが受賞したのもやっぱりちょっと違和感はあって、今年もたぶんスリー・ビルボードあたりになるんだろうな、と思ってたらデル・トロ祭りになっててちょっとビックリしたというか。

まあでも過去の受賞作品見ても何コレ感はあったりするしwやっぱりあくまでアカデミー賞はお祭りとして、ジミー・キンメルのへらず口とか、よぼよぼのウォーレン・ビーティwを楽しむのが正解なんだと思います。

そんなこんなで、仕事中にずっとツイッター横目にアカデミー賞の結果を見てて気分も盛り上がった状態だったので、業務終了と同時にソッコーで映画館へ向かいました。

以下、ネタバレ含むのでご注意を。 

映画のあらすじ等は省略(町山さんの解説や他のブログが参考になります!)。

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なるほど、これはオスカー取ってもおかしくない映画だなというのが最初の感想。

確かに、いきなりのオナニーシーンとか、マイケル・シャノンのトイレ&ケツ出し◯◯◯◯シーンとか、傷口に指ツッコミの引きずり回しとか、半魚人との◯◯◯とか、こんなの必要なの?wって思うシーンもありました(いや、こういうのがあるからこそのデル・トロ監督だし価値があるのでしょうけど)。

でも、映画を観終わって残った印象は、本当にロマンティックなラブストーリー、だし、美しいファンタジー、だったのでオスカーも全然ありだなと。

その要素としては、やっぱり主演のサリー・ホーキンスの素晴らしい演技がとても大きいなと思いました。なんでこれで主演女優賞取れなかったんだ?くらいの気持ち。

声が出ない人って設定もよく考えたなーと思いました。
サリー・ホーキンスの演技力がなけりゃ成り立たないと思うけど、セリフで伝えるよりずっと響くというか、感動的というか。

子供の頃、TVでチャップリンの「街の灯」を見たとき打ちのめされるくらい感動したんだけど、あれも目が見えないという設定があるからこその感動や悲しさだし、それを最大限に活かしたストーリーだったけど、この映画もちょっと近い感覚を受けたんですよね。

 

あと、美術。これは賞を取って当然かと思いました。
何というか画面の青や緑基調の色合いが全編に渡ってすばらしいし、60年代というポップでパステルな色のきれいな時代設定も相まって、細部に至るまでうっとり見とれるくらい良かった。濡れた床の見せ方ですら美しい。
あと研究施設の機械の動きとか、ボタンやメカの動きとか造形とかもコダワリまくってるのが伝わるし。さすがパシフィック・リムの監督!w

日本語字幕も黄色で、個人的には画面とマッチしてて良かったと思いました。

 

怪物と女性のロマンス(悲恋)を扱った名作映画はたくさんあるけども(キングコングとかザ・フライとか)、この映画はロマンスや希望の余韻を残して終わるのがオスカー受賞に繋がったのかも。
もちろん、町山さんが解説しているような、社会的メッセージ(移民問題、男尊女卑、性的人種的差別問題等)も含まれているというのもあったとは思いますが、映画としての楽しさ、ファンタジーという魔法が根本にあるのが、この映画の一番の良いところだと感じました。

 

個人的には、さほどデル・トロ監督の映画に熱狂してるわけでもなく理解度も低め、オタク度としては中の下くらいの属性なので「文句なし!最高でしたー!」ってテンションでは無いのですが、これまで観たデル・トロ監督作の中では一番良かったかも(まだ見てない作品たくさんありますが)

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シェイプ・オブ・ウォーター (竹書房文庫)

シェイプ・オブ・ウォーター (竹書房文庫)

 


 デル・トロ監督といえば。

 

*1:シェイプ・オブ・ウォーターとしては作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の4部門受賞