今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

観た映画:リメンバー・ミー

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http://www.disney.co.jp/movie/remember-me/gallery.html

ピクサー最新作。
ディズニー映画なのに「ピクサー最新作」って売り文句が使われるくらい、安定の面白さを保証するブランドになってますよね、ピクサー
監督はそのピクサーを代表するリー・アンクリッチ。トイ・ストーリー3は泣きましたよね。最高でした。
当然このリメンバー・ミーも期待値MAX、面白くて当たり前のハードル上がりまくりになるのはしょうがないですよね…。

以下、軽いネタバレあると思うので観てない人はご注意ください〜。

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あらすじはこんな感じ。

主人公は、メキシコ・サンタ・セシリアに住む12歳の少年ミゲル・リヴェラ。彼が生まれ育ったリヴェラ家には、ミゲルの高祖父にあたる人物が音楽家としての夢を追いかけ、家族を捨てた過去があることから、「音楽禁止」という厳重な掟があった。家族から音楽を禁じられているにも関わらず、ミゲルは音楽への思いを募らせ、将来はミュージシャンになることを目指していた。

1年に1度だけ他界した先祖が家族に会いに来るという死者の日、音楽コンテストに出席するために霊堂に飾られた遺品のギターを盗んだことで、死者の国に迷い込んでしまう。

そこで出会ったヘクターと、生者の国に戻るための冒険がはじまる。

リメンバー・ミー (2017年の映画) - Wikipedia

 

死者の日」って言葉のインパクト凄いですよね。英語で言うと「Day of the dead」。まるでゾンビ映画みたいだけど、これはメキシコの祝祭日の事で、米国で言うハロウィンみたいなものらしい。
すぐに思いつくのは007『スペクター』。冒頭でお祭りの中でのアクションシーンがありましたよね。ガイコツのお面や仮想をしてのパレードがあったりして、楽しげでもあり不気味でもあり。

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亡くなった人々をお迎えする日というと、日本人的には「お盆」。そう、ホントにこれはまったくお盆がテーマの映画でした。

というのも自分が住んでる沖縄では旧盆(旧暦のお盆)をやるのですが、メキシコの風習が沖縄のお盆とイメージが近いなあと感じまして。

旧盆の3日間は1年の中で特に大事な日というか、一大イベントになってて、たぶん沖縄以外の日本のお盆とはちょっと様相が違っているんじゃないかと思います。

祖先崇拝や家族の結びつきが強く、先祖代々の位牌を持つ長男の家に、親族が続々集まって盛大にお供えして先祖をお迎え、朝晩のご飯も用意し、もてなして、3日目の深夜にまたあの世にお送りします。

老いた先祖のために杖代わりのさとうきびを立てかけたり、あの世でお金に困らないようにウチカビという紙を炊いて持たせたり、と言った具合に、とにかく先祖ファーストという思想ですw
(とはいえ最近では徐々にそういう風習も簡略化されて、自分を含め若い世代にはどんどんあっさりした行事になりつつありますが)

とにかくメジャーな行事なので、旧盆をテーマにしたお芝居とかコントとかもたくさんあって、沖縄の人からみたらこの映画はかなり親近感を持って観られるんじゃないかなあ。
家族における上下関係も結構似てて、映画の中でもおばあちゃんが一番強く、まるで家長のような存在でしたが、あれも割りとそのまんまだしw
あと、映画の中で描かれる「二度目の死」についても、お盆では何度も同じような昔の祖先の話を自然と話題にしたり、思い出話をすることが供養になるという教えも聞いたことがあるし、やはり違和感なく受け取れました。

 

と、変な前置きになってしまいましたが、この映画は「家族」についてのお話です。
「家族って大事なもの、素敵なもの」というテーマの映画(特にファミリー向けの映画は当然)多いですが、でも家族って近すぎる存在ゆえに、現実的にはいがみ合ったり、憎み合ったり、下手したら遺産相続争いなんかで縁を切ったり切られたり、まあ大変なことのほうが多いですよね(映画「犬猿」でも兄弟のそういう関係を描いてました)。
特に若い時はとにかく束縛されてウザいし、一人になって好きな事したい、って気持ちが強かったりしますよね。

主人公のミゲルくんは、家族想いのとってもいい子なんだけど、まさにそんな状況になってしまう。もちろんファミリー向けのアニメ映画なので、そんなにエグい描き方はしてませんが、でもやりたいこと(音楽)ができない辛さは痛いほどよくわかる。

家族を取るか、やりたいこと(音楽)を取るか、という難しい選択があって、彼の先祖にも音楽という夢を取ったために家族から「いなかった」事にされたおじいさんがいる。
ミゲルくんはそのおじいさんに共鳴して、自分のやりたいことを実現させ、また家族にもそれを理解してもらおうと奮闘する、というのが基本のストーリー。

 

冒頭のミゲルくんが歌手デビューを夢見て、家族に禁止されている音楽を密かに練習したり、好きな歌手のビデオを食い入るように見たり、コンテストに出ようとしたり、という展開はワクワクしてとっても良かった。

でも、そこから死者の国に迷い込んでからの展開は、「どうせ過去の先祖の誤解をなんとかうまく時間内(夜明けまで)に解決しちゃうって展開なんでしょう」と思ったら急になんか冷めたというか、正直のれなくて。

限られた時間のタイムサスペンスは、まるで「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいで(体が消えかかるとか)楽しいんだけど、上手く行かないと「あーもう、イライラする」って感じでw

中盤はそんな感じでなんとなーくイヤな予感を感じつつ観てたんですが、やはりそこはピクサー、アンクリッチ!。後半にいくつかひっくり返して怒涛の展開になります。

そして、もうどうなるかわかってるんですが、それでもミゲルくんの奏でる曲と歌に、号泣寸前まで追い込まれますw
現実は家族に対して嫌なこともあるだろうけど、でも今一度ちゃんと振り返って大切にしないとな、という気にさせられちゃいます。やばいよピクサー

まあ、最後は予定調和っちゃそうなんですが、あのトイ・ストーリー3の最後の生か死か、という凄みのあるシーンを演出した監督の手腕は、この映画でもしっかり発揮されていると思いました。

自分的には「トイ・ストーリー」シリーズは、いくらピクサーが今後がんばっても、もう絶対に越えられないマスターピースだと思っていて、さすがにそれと比べるわけにはいかないのですが、でも最近ちょっと興味を失いつつあったピクサーアニメに対して、お盆という親しみやすいテーマもあり、結構好きな作品になったかも。

死者の国がまるで夢の国のようなカラフルで美しい世界だったり、ガイコツの造形や動きも面白いし、メキシコの陽気な楽曲も楽しいし、何よりココおばあちゃんの顔がもう最高でした。

 

そういえば、自分は字幕版で観たんだけど、吹替版もどんな感じなんだろう。予告編を観る限り悪く無さそうですよね。

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あまりいないとは思うけど、まだ見てないという方はマストですwぜひ!!


 サントラ聞いたら泣きそうw

リメンバー・ミー オリジナル・サウンドトラック

リメンバー・ミー オリジナル・サウンドトラック