今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド : 作品情報 - 映画.com

タランティーノの新作!
しかも69年のハリウッドが舞台。ポスター見ただけでおっさんは興奮するしかないじゃないですか!Twitterでわんさかネタバレされる前に公開されたらすぐに観たいじゃないですか!ブラピにデカプーにブルース・リー!期待するなという方が無理というもの。

 

だが…しかし…ブログもろくに書かない私に映画の神様は厳しい試練を与えたもうた!

公開直後から飲み会に次ぐ飲み会。予定していた東京行きも台風の影響でヘロヘロになりなから到着。そしてまた飲み会に次ぐ飲み会。間髪入れずに台風15号襲来!飛行機も飛ばず電車も動いてない千葉に閉じ込められ、数日後になんとか地元に戻ったら妻が入院…んまあ、これでもかと次々に起こる謎のイベントよ!

気がつくと公開からもうすぐ1ヶ月近く。マジか? ああもういいよもう!観なきゃいいんでしょ!ハイハイ諦めますよ…グスン。

と思いかけたところで、入院中の妻が不意打ちのように「外出許可を取ったので映画でも行くか!」とか突然言い出して、期せずして観に行くことが出来た〜!なんだそれ(笑)!

感想?そりゃ面白いに決まってるじゃないですか!じらされて諦めかけたその分だけ、楽しさも倍になったよ!

って…あれ?ちょっと待てよ。この状態って…まさにタランティーノの映画そのものじゃない?グダグダと引っ張るだけ引っ張って痺れを切らしそうになったタイミングでドカンと来るカタルシス

そうか、これは映画の神様の心憎い演出だったのか!俺はタランティーノに愛されてたのか!

 

なわけない。

やなぎやさんというブログ友だちに「ワンハリ観たんだったら感想かけよ!絶対な!」と脅された励まされたので、無理やりテンション高めてくだらない前置きを書いてみました。

 

 


では映画の感想を。

まあそりゃ面白いに決まってる!久しぶりに「映画観た〜」って感慨があった。やっぱりタランティーノの映画はなんだかんだ言っても映画を観る喜びみたいなのがあるよね。なんでそんな感覚があるのか言葉でうまく説明できないんだけども。

 

タランティーノの映画はどうせ観る人は観るだろうし、興味ない人は観ない(気がする)のでストーリー説明はナシで(ストーリーらしきもの無いですがw)、思いついた感想だけ書いておきます。

以下、ネタバレ的なことも書きますよ。

 

まず、とにかくブラピがカッコ良すぎ!

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド : 作品情報 - 映画.com

髪型といいサングラスといい、アロハといい、CHAMPIONのTシャツといい、ジーンズといい、愛車カルマンギアといい、まあカッコいい!

見た目だけじゃなく、動きや仕草もすべてカッコいい。

トレーラーハウスにピットブルっていう獰猛な犬を飼っているんだけど、そいつを完全に手懐けていて、顔と口をすこし歪めて口を鳴らして合図(命令)するとことか身震いするくらい!なんつーカッコ良さよ!

しかもそれが、ちゃーんとね、クライマックスでね、効果的に使ってくるのよ。

タランティーノってこういうの、ほんと上手いよね。

まあとにかく、ブラピが主役と言っても間違いではない。それくらいカッコよかったぞ。

 

一方のディカプリオは完全にお笑い担当。

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド : 作品情報 - 映画.com

冒頭で『イングロリアス・バスターズ』を思わせる火炎放射器でディカプーがナチスをやっつけるシーン。「熱いんだよ!これ!」と情けなくも間抜けな撮影シーンからしてもう爆笑。

しかも、それがね、またクライマックスでね、効いてくるんですよ。上手いよねタランティーノは。笑うしかないですよね。カタルシスのあとに爆笑シーンまで畳み掛けてくるんですから。

承認欲求が強くて、怒りが押さえられなくて、泣き虫。それでいて愛されキャラ。ひたすら笑わせてくれます。ディカプー。キュート。

 

そんな凸凹コンビが、ひたすらハリウッド観光巡りをする前半。タランティーノのいつもの意味があるような無いような、だらだらとしたシーンが延々と続くんだけど、毎回なぜか見入ってしまう不思議。

映っている対象も含めて、画面自体がすごく魅力的なんですよね。なんでだろう。
たぶん、匂いや湿気まで伝わってくるような空気感の再現度が高いのがタランティーノの映画の特徴なのではないかと思っているんだけどどうでしょう。

イングロリアス・バスターズ』や『ジャンゴ』のような現代ではないものは置いといて、『パルプ・フィクション』『ジャッキー・ブラウン』はじめ、アメリカのリアルな生活や雰囲気がすごく伝わって来ますよね。あれがなんつーかたまらなく好きなんですよね。自分だけ?

今回の映画は、69年という現在のロケをそのまま使えないふた昔前くらいという微妙な時代設定なのと、それこそ映画の都ハリウッドというセット風味も相まって、リアルな空気感は薄いけど、逆にキラキラした夢のような世界が広がっていた。

CG使わないタランティーノ。建物はもちろん、クルマから看板から小物まで徹底的に69年を再現してて、どんだけ拘って金かけたんだろう。クルマとかよくあれだけ揃えたなあ。感心するわ。

あと、やっぱり音楽は最高!音楽も輝いていた時代だったしね。相変わらず選曲や使い方がうまいなー。
あとラジオ!当時のAFN(日本だとFENか)っぽいのがガンガンかかってて、イカしたブラピがハリウッドを流すシーンとか最高です。
自分もタランティーノとそう変わらないトシなので、当時はアメリカ文化を味わうにはとにかくFENだったわけで、やっぱりその空気感の再現は良かったなー。

 

と、前半はハリウッドをダラダラと走り回ってるんだけど、この映画はチャールズ・マンソン率いるカルト集団による女優シャロン・テート殺人事件を題材としているので、いつ不穏な状況に切り替えていくのだろうと思ってたら、クルマを流していたブラピがキュートなヒッピー娘を見つける多幸感あふれるシーンから、3度目のヒッピー娘との遭遇でクルマに乗せて住まいまで送るところで徐々に雰囲気が怪しくなり、気づくと邪悪なヒッピーたちの世界に迷い込んでいくという、この自然な流れが上手いなーと思った。

そこで何か不吉なことが起きる?起こらない?という緊張感にいつの間にか引き込まれてしまってやっと映画がメインの方向に転がっていく・・・。


と思いきや、こっから急に雑になるw(と感じた)。


ブラピとディカプーはマカロニ・ウェスタンの撮影で数ヶ月イタリアに行くことになるんだけど、そこ、、、必要?しかも、戻ってから、実際の事件のあった時間まで急に説明的な時刻表示が始まって、なんか急に雑になったなーとちょっと驚いたw

しかもこのあたりで、「ははあ、これはイングロリアス・バスターズやジャンゴと同じ路線だな」と気づいた。そして、案の定それは的中。

でもね、あのオチ部分はほんと強烈なカタルシスはあった。やりすぎなバイオレンスと、バカバカしい笑いの絶妙なミックス!観ている人を興奮のるつぼに陥れてしまう。「ウギャー!何そのグロい殺しかた!」というのと同時に「ぶは!」とつい笑ってしまう状況。タランティーノお得意のアンビバレントな見せ方に悶絶させられ、必死で笑いをこらえていた(でも周りの観客で笑っていたのは自分と妻くらいだったような気がするw)。 

 

面白かった。予想通りといえばそうだったし、目新しい驚きもなかったけど、やっぱしタランティーノの映画は面白いよ。素直に。

 

でも、両手を上げて良かったかと言われれるとそうでもなく、ああいうオチにしたのは爽快感もあることはあったけど、じゃあシャロン・テートポランスキーの役割って一体何?というモヤモヤも残った。うーん、やっぱりタランティーノが好きなこと詰め込み過ぎなんじゃないかな?って感じるとこはあったかな。

ヒッピーたちがシャロン・テートたちを襲う動機や説明、絡みをちゃんと作っておけば、背景知らない人でもすんなり面白がれたんじゃないかな、とか。

あと、自分はマンソン事件のことは当然知ってたけどシャロン・テートに特に思い入れとかなく、 劇中に出てくる映画やマニアックな映画オマージュ?についてはあんまりピントこなかったです。

シャロン・テート、まあ可愛かったけど、キュンとまではならなかった。

それより、ブルース・ダーンはどこに出てたんだ?と思って調べたら、あの撮影牧場のジジイかよ!なんという役をやらせるんだ。アル・パチーノだってべつに他の人でもぜんぜん良かった気がする。名優の無駄遣いかw

 

タランティーノの映画として見ると、『イングロリアス・バスターズ』『ジャッキー・ブラウン』『パルプ・フィクション』あたりがよく出来ていると思うので、比べるとちょっと厳しいとこあるけど、でもこれはこれで楽しい映画でした。


※ごめんなさい!間違って下書き状態で一度アップしちゃって、スターを付けてくださった方が何人かいらっしゃったのですが、すみませんでした!

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タランティーノ映画はどれも好きですが、3本選ぶとするとこれかな・・・。

パルプ・フィクション (字幕版)
 

 

『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はこれに近いかなと感じました。 


音楽は最高でしたね! 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック