今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

8 1/2

名前くらいは当然知っているが、フェデリコ・フェリーニの映画はこれまで一本も観たことはありません。

若い頃からずっとエンタメ性を映画に求めていたので、この手(どの手?)の映画はご多分に漏れず「難解で退屈だろう」という偏見により優先順位はどうしてもあと回しになっていたんだけど、Amazonプライムのシネフィルなんとかチャンネルのお試し期間がロクに利用しないまま終わりそうだったので、この半強制自宅軟禁状態を利用して軽い気持ちで観てみました。

 

他にも『フェリーニのアマルコルド』『道』とあったのだけど、変なタイトル(はっかにぶんのいち)なのと、マルチェロ・マストロヤンニのカッコいい画像で選びました。どういう映画なのか、まったく前知識ナッシング。

https://eiga.k-img.com/images/movie/53757/gallery/1_large.jpg?1396889178

映画.com

感想
「え、こんな映画だったの?思ったより全然面白かった!」

 

ただし冒頭からしばらくはやっぱりよくわかりません。たぶん多くの人は「何これ?難解なアート映画?」って思うはず。

でも、最初っから映像がとにかく面白くて、新鮮!とても50年以上も前の映画に見えません。
いきなりワーグナーワルキューレの騎行地獄の黙示録やブルースブラザーズで有名なあれ)が唐突に流れるし、モノクロ画面も美しいのでついつい引き込まれてしまいました。なんかね、白トビしてたりするんだけど、マストロヤンニの黒いサングラスやスーツがめっちゃビシッと締まってってキレイなんです。モノクロだけど、仮にカラー版があったとしても、おそらく美しさは変わらないんじゃないかな。それくらい気を遣っているように感じました。

ストーリーは、最初はなんだかよくわかんないんだけど、主役の映画監督(マストロヤンニ)が、思ったように映画製作ができない現実と、そこから逃避するための妄想の狭間を行ったり来たりするというお話。

なんだか『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』みたいな映画かなと思いました。

小難しい映画でもなんでもなくて、ほぼコメディ映画みたいなもんです。途中で何度か大笑いしました。監督の妄想がひどすぎてw どんだけ都合良いこと考えているんだお前!って。

いや、この映画の面白さは、何と言っても映像のほうですね。ストーリー(セリフ)をちゃんと追わずにぼんやりみてても、映像だけでも面白いんです。ほんと。

あまりカット割りが無くて、カメラが動きつつも対象になる人やモノが次々に変化するのがとっても面白い。なんだか手品を観ているような感覚。ほら、手品師って花が手もとから一輪、また一輪と出して、終わりかと思ったら最後にハトがバッと飛び出てびっくり!みたいなあの感じというか(伝わらないかなw)。

2時間超えの長い映画なんだけど、最初から最後までずっとこういう見せ方の工夫がすごくて、まあ飽きない。子供の影を追いかける母親の影が壁にかかるシーンは思わず「おお!」と声がでました。

あと、ビックリしたのが、映画監督の友人が女性と二人でダンスするシーンがあるんだけど、それが『パルプ・フィクション』のトラボルタとユマ・サーマンのあのクラブでのダンスシーンそっくりで、ここでも思わず「パルプ・フィクションかよ!」って声がでちゃいました。いや、タランティーノが真似したほうなんですけどねw あんたパクりすぎw

この映画監督(マストロヤンニ)は、当然ながらフェデリコ・フェリーニ自身を投影しているんだろうな。映画監督ってこれくらい周りがやかましくてプレッシャーがあって、そして恐ろしいくらい自分勝手な妄想をしているんだろうか。

ラストはほのぼのというか、人生万歳みたいな感じで、ちょっと『蒲田行進曲』を思い出しました。

 

で、観終わったあとに、この映画についていつもの町山さんの解説を聞いてみたら、デビッド・リンチテリー・ギリアム、タイトルだと『バートン・フィンク』『ビッグフィッシュ』『未来世紀ブラジル』『ライフ・アクアティック』などなど数え切れない映画が影響を受けているとのこと。なるほど、言われてみれば確かにねぇ。バードマンや蒲田行進曲なんてのしか思い出せないなんて、まだまだだなあ・・・w


調子に乗って、『フェリーニのアマルコルド』も観てみようかな。

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8 1/2 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2013/01/11
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8 1/2 (字幕版)

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影響を受けたであろう映画

Brazil (字幕版)

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ビッグ・フィッシュ (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
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バートン・フィンク (字幕版)

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  • 発売日: 2015/08/25
  • メディア: Prime Video
 

 

パラサイト 半地下の家族

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はてなブログっていろんな機能があるんすね。
前回、久しぶりにブログ書いたらスターを付けてくださったpopmusik3141さんのアイコンにマウスを当てると記事の一部が引用されててビックリしました。


↓↓↓こんな感じ。わかります?

f:id:seymourgw:20200129193758p:plain

引用したいテキスト部分を選択した状態でスターを入れるだけ。もしかしてはてなブロガーなら常識?知らんかったー。面白かったので何人かの記事にさっそく引用スターいれておきました。気づいてっ!w

 

さて今年の一発目はポン・ジュノの新作。まあこれは観ておかないとねー。
(決定的なネタバレ無しですが、それとなく重要なことも書いてます。それに観てないとなんのこっちゃって感想です!)

 

ポン・ジュノ作品、有名どころはとりあえず観てます。
殺人の追憶』や『グエムル』は韓国映画の面白さに目覚める入口だったかも。逆にハリウッド資本になった『オクジャ』や『スノーピアサー』はなぜだか平凡になっちゃった印象。一番印象深かった作品は『母なる証明』。映画館で1回観たっきりなんだけど、今でも色んなシーンが妙に生々しく思い出せる。ラスト(オープニング)のおばちゃんの不思議ダンスなんて誰もが忘れられないシーンなんじゃなかろうか。


今作はオール韓国俳優に韓国ロケ。やっぱりこっちのほうが良いと思う。これまでの作品の中でもトップクラスに面白かった。
ただ、あちこちで「何も知らずに観たほうがいい」とか「予測不能な展開に驚愕」とか煽るもんだから「いったいどんなスゴイことが起こるんだ!」って気負いすぎたかも。映画鑑賞は外野に惑わされずサラッといきたいですね。


半地下、下町、山手、段差、階段、 と格差社会を自分レベルでもわかりやすく上下をうまく使った映像で説明してくれます。中でも印象的だったのは「匂い」を使った演出。こういうふうに使うのか!っとビックリするやら納得するやら。あの感覚はすごいわかる。自分もどちらかというと匂いにはガサツというか無頓着なほうなので、会社には念の為に消臭スプレーいくつか置いてますからw

 もひとつ印象的だったのがソン・ガンホ演じるお父さんの「計画なんて立ててもその通りにならないから立てるだけ無駄」というセリフ。やれ目標を立てろだの、お金持ちが実践してる習慣だの、自己啓発本セミナーが蔓延している昨今の風潮(アメリカや日本が顕著?)に強烈なカウンターを当ててきます。個人的にはがんばらなくてもつつましく楽しく暮らせる社会がいいんじゃない?って思うんだけど、あの家族は頑張っても頑張らなくてもひどい目に合うしかない諦め、みたいな言葉に聞こえた。つらい。

ラストの展開は人によって感じ方とか違ってくるんじゃないかなあ。安易に希望を見せないところは個人的に良かったと思ってるけど。やるせなさやそこに自分も踏み込んでいってるんじゃないかという恐怖を感じました。

コミカルなのに考えれば考えるほど後味悪いよこの映画。ポン・ジュノの映画はみんなそうか。『万引き家族』も。まだ観てないけどケン・ローチの新作とか連続で観たら立ち直れなくなるかも。

ところで桃アレルギーってほんとにあるの?

 

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ポン・ジュノ作品 私のベスト・ワン

母なる証明(字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
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有名どころ。

グエムル-漢江の怪物-(字幕版)

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  • 発売日: 2015/04/02
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殺人の追憶(字幕版)

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  • 発売日: 2014/06/07
  • メディア: Prime Video
 

 
ハリウッド進出もの。

スノーピアサー(字幕版)

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  • 発売日: 2014/06/07
  • メディア: Prime Video
 

www.netflix.com

 

愛用している消臭スプレーはこれ。おすすめです(笑)

 

2019年に見た映画振り返り

1/28追記
リストに抜けてた映画がいくつかあったので追記。なんと『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が抜けていたというwww

もうブログやめたと思われているかもしれないけど、3ヶ月ぶりにしれっと更新!

劇場で見た映画を毎年振り返ってたので、せめて1月中にこれだけはやっておこう。
ビデオとかネット配信で観た映画はいちいち覚えてないし記録もしてないので、あくまで劇場で見た映画のみ。

今年はだいぶ本数減っちゃったので(あえて減らしたんですが)、ベストとかワーストとか並べても意味ないので、ざっくり良かった映画をいくつかピックアップしてみます。もちろん順番は関係無し。

数えてみると29本32本ぽっちしか観てなかったよ。

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ミスター・ガラス
女王陛下のお気に入り
へレディタリー/継承
ファースト・マン
グリーンブック
運び屋
THE GUILTY ギルティ
スノー・ロワイヤル
ブラック・クランズマン
キャプテン・マーベル
バイス
アベンジャーズ エンドゲーム
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
アラジン
サッドヒルを掘り返せ
スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
トイ・ストーリー4(字幕)(吹替)
主戦場
アルキメデスの大戦
工作 黒金星と呼ばれた男
ハッピー・デス・デイ
新聞記者
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ジョン・ウィック:パラベラム
ジョーカー
エスタデイ
蜜蜂と遠雷
見えない目撃者
ターミネーター:ニュー・フェイト
ブライトバーン/恐怖の拡散者
ドクター・スリープ
スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け
ーーーーー

そうかー、2019年は『ミスターガラス』が初っ端だったんだ。幸先悪いw
しかし、こうやって並べてみても「これが最高だった!」ってのが無いなあ。やっぱり感情がだいぶ枯れているのかもしれない。

 

割と最後まで集中して観られた、かつ、あとを引くような印象に残った映画だったな、と思ったのは・・・。


へレディタリー/継承

やっぱしこれは印象深いですね。へんてこな映画を見せられた感は一番かも。何かに狂ったおばあちゃんにお母さんに娘たち。そんな中、私は数少ない「お父さん」に感情移入した人ですw

seymourgw.hatenablog.com

 


グリーンブック

これは良かった!なんていうかこれくらいサラッとライトでハートウォーミングな映画って昔はいっぱいあったような気がするんだけど、最近は何か小難しい映画が多くて。差別問題とか扱っているけどそんなのあまり気にならないとこが好き。
ただ、私の尊敬するふかづめ先生が一刀両断してたので気持ちがぐらつきましたけど、がんばってもう一度褒めてみましたw

seymourgw.hatenablog.com

 


トイ・ストーリー4
やっぱりピクサーはレベルが高い!実はアニメ分野は少し苦手なんだけど、トイ・ストーリーだけはすべて許せるくらい1作目から大好き。こんな上質なシリーズはそうそう無いと思う。今回はファンを裏切ったとか酷評も多かったけど、お年寄りには今作の良さがちゃんとわかるのよ(笑)


工作 黒金星と呼ばれた男

無理やり泣かせに持っていくようなあざとさも感じたりしたんだけど、まあ良く出来てます。キム・ジョンイルのシーンは素晴らしかった。アカデミー賞を取った『女王陛下のお気に入り』に勝るとも劣らない北朝鮮の王宮シーンは必見w


見えない目撃者
これはダークホース的に面白かった。いや、いろいろ突っ込みたいところもたくさんあるし、目を覆うようなダサいシーンもあるんだけど、まるで韓国映画を観ているような面白さだった。と思ったら本当に韓国映画のリメイク?だったらしい。なるほど。
犯人のアジトに踏み込むまでは良かったのだけど、そこからのクライマックスがちょっとご都合主義というかそりゃないわと思った。でも少ない予算だったろうによくがんばった!って褒めてあげたい。


(追記)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
なんと一番楽しかった映画を忘れていたw(本格的にボケてきたかも)。
順番はつけないとか言ったけど、これが今年のナンバーワンでしたね。
個人的にはシャロン・テートにはあまりキュンと来なかったけど、ディカプーとブラピのモデルにもなったバート・レイノルズハル・ニーダムのコンビはリアルタイム世代なので感慨深いものがありました。

seymourgw.hatenablog.com

あと『ハッピー・デス・デイ』とか『ドクター・スリープ』も悪くなかった。もちろん『アベンジャーズ エンドゲーム』にも圧倒されました。
スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』は今年に入ってもう一回観てみたけど、いや悪くないと思う。よく作ってると思う。楽しいよ。
ただ、ディズニーやJJエイブラムスの姿勢が許せるかどうか、なんじゃないかなー。

ちなみにがっかり案件は『スノー・ロワイヤル』『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と『ブライトバーン/恐怖の拡散者』でした。

 

てことで、あけましておめでとうございます(一応旧正月だし)。
今年もよろしくおねがいします。