今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

観た映画:ハクソー・リッジ

メル・ギブソン久しぶりの監督作。
ずいぶん前から沖縄戦を舞台にした、とんでもなく激しい描写だと聞いていたので、すごく期待していた映画。

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まあ、それにしてもあちこちですでに語られているように、確かに戦場での描写はとんでもないものでした・・・。

実話だし 、当然主人公のデズモンド・ドスさんの奇跡的なお話を感動的に描いている映画としても観ることはできるんだけど、なんというかそこはもうメル・ギブソンお得意の痛々しい描写が執拗なまでに盛り込まれてて、それをエンターテインメントとして興奮を持って見てしまっている事になんとも複雑な気分になったり…。

大画面でしか味わえない圧倒的な映画の興奮は間違いなくあるとは思います。

 

以下駄文。
自分は小中学校くらいの時はタミヤのミリタリープラモをたくさん作ってて、第二次大戦の戦記本もわりと読んでたし、戦争映画はTVでやってると必ず見てたし、アホみたいな制作費を使って当時のオールスターを揃えて大コケした『遠すぎた橋』なんて映画でも毎日のように写真を眺めたりサウンドトラックを聞いているような、そんな子供でした(その頃はストーリーとかテーマとか二の次、三の次w)

しかしまあ当然のように原爆投下の実情や沖縄戦の悲惨な出来事についても少しづつ学ぶわけで、だんだんミリタリーへの興味も薄れ、戦争の恐ろしさを徐々に理解していくんだけど、映画の中でも「マジでこの状況は恐ろしい」と心底感じたのが『プラトーン』だった(もっとトラウマ級の恐ろしい戦争映画を見てなかったというのもありますが、あくまで当時の自分が見た戦争映画で一番自分に怖ろしさを感じさせてくれた映画)。

プラトーンって戦争をヒロイックに描いて無くそれがとても衝撃的で、四方八方からベトコンがうじゃうじゃと向かってくる中で戦うという状況がとにかくリアルで、心底恐ろしさを感じたものでした(そのあとすぐに公開されたハンバーガー・ヒルは描写こそ凄かったけど、やはり戦争をヒロイックに描いているように感じで興ざめした記憶があるけど、今見たらどうなんだろう)。

もちろんその後に『プライベート・ライアン』というさらにトンデモナイ映画も出たし、同じスピルバーグ制作のTVドラマ『ザ・パシフィック』での悲惨な太平洋戦争描写なんかも見てはいるので、ハクソー・リッジも(ものすごいんだけど)やっぱりプラトーンの時のような「初めての体験」という感覚はもうなかった。

もちろん、人によってはこの映画、途中退席する人もいるくらいのレベルの描写だとは思うけど。

んで、何がいいたいかというと戦争映画って難しいなあと。

昔のようにナチス勝利する少しノーテンキな勧善懲悪のような映画はもうさすがに無いだろうし、戦争の嫌な部分を見せたいのであれば、『サウルの息子』とか案外『この世界の片隅に』のような直接戦闘を描かない映画のほうがよっぽど重いし、こういうリアルな激しい戦闘描写は一時的にショッキングだけど、なんというかエンターテインメント的な興奮が備わってて、複雑な気分にしかならないというか。

今回の舞台が特に沖縄戦だったりするので余計に複雑な気分が抜けなかった。

映画としては楽しめたんだけど、はたしてこれ「サイコー!」とは言えないだろうし。

駄文、以上w

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YouTubeにデズモンド・ドスさんのドキュメンタリー映画がありました。
ざっくり飛ばしてしか観てないけど、ほぼハクソーリッジの元ネタはそのままある感じ。興味ある方は映画を観てからどうぞ(いつか削除されてるかもしれませんが)

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沖縄にはいくつかの高地があって、有利な地形なのでそこの取り合いで必然的に激戦地になるわけで(韓国映画にもずばり『高地戦』なんて強烈な映画もありましたし)、このハクソーリッジ(前田高地)の他にも嘉数高台やシュガーローフなんていう、とんでもない激戦地が他にもあります。

嘉数高台は普天間基地が一望できるし整備されているので観光客も多いのですが、ハクソーリッジやシュガーローフは言われないとたぶんよくわからないとこです。
が、この映画のおかげ?で、なんと毎日たくさんの観光客が来るようになったそうで、アメリカ人もかなり多いとか。何でも米軍を引退してここのガイドをやっているアメリカ人もいるそうです。
興味ある方はこちらもどうぞ。

『ハクソー・リッジ』の公開によせて | 浦添市

『ハクソー・リッジ』〜作品の舞台をご案内します〜 | 浦添市

デズモンド・ドスさんは沖縄に4度も訪ねたそうです。

ryukyushimpo.jp