今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

観た映画:デトロイト

これはヤバイくらい重たい映画。覚悟して観る必要があるかも。
ちょこっとネタバレしてるのでご注意を。まあ史実をもとにしてるのでネタも何も無いけど。

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キャスリン・ビグロー監督といえば、自分は昔『ストレンジ・デイズ』を見て、ラストで頭をガーンと殴られたような衝撃を受けた(ずいぶん古い映画なのであんまり覚えてないけどw もう一回見たくなってきたなあ。今度レンタル探してみよう)。

最近は『ハート・ロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』で、すっかり社会派な監督として名を馳せているけど、相変わらず頭をガーンと殴られるような映画ばっかり作っている。

で、今回のデトロイト。これまで以上でした。

頭を100回くらいバットで殴られるような映画だった。

 

暴動の起きたデトロイトで、警官や州軍にちょっとしたイタズラをしたばかりに、若者たちが地獄のような一夜を過ごす。というお話なんだけど、もうその描写がマジ恐い。恐怖そのもの。
ヤクザやマフィアに捕まるというシチュエーションも怖いけど、相手が警官だからもう為す術がない。誰も助けられないし、助けてもくれない絶望感。
何もしてないジョン・ボイエガが取調べを受けるとこもホント怖かった。

実際の当時の映像も挟みつつ、カメラも揺れ揺れのドキュメンタリータッチで撮っているので、観客はその恐怖を文字通り「体験」させられる。ドキュメンタリー風なんだけど、これ以上無いくらいのホラー映画でもある。

 

『アイ・イン・ザ・スカイ』というイラク無人機でテロリスト攻撃し、何の罪もない子供を巻き添えにするって映画を以前観たんだけど、その重い事実とは裏腹に、映画としてのサスペンスがエンタテインメントに感じて、なんだかとても複雑な気分になったことがあった。

でもこのデトロイトは、ドキュメンタリー風にすることでギリギリ、エンタテイメントに感じないというか、客観的に映画を観ている側として楽しませてくれないような作りになっている。自分も100回くらい頭を殴られているような、そんな気分にさせられてしまう。

しかも、暴力を受けるドラマティックスのボーカル、ラリー(アルジー・スミス)が、この出来事によりエンタテイメントとしての曲を唄えなくなるという事実が、もう重すぎるくらい重くて本当につらくなる。
この映画、スター・ウォーズのフィンを演じたジョン・ボイエガが主役のように宣伝されてるけど、主役は間違いなくラリーを演じたアルジー・スミス。

 

それと、暴力を振るうメインの警官、クラウス演じるウィル・ポールターが凄い。動きと言い、顔つきといい、変な眉毛といい、とにっかく憎たらしい!


これが映画かどうか区別付かなくなった人に襲われちゃうんじゃないかと心配になるほど、彼に憎しみを抱いてしまう。それくらい凄い演技だし、演出されている。アカデミー賞助演男優賞は、この人にして欲しい。

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http://eiga.com/movie/87571/gallery/2/

 

この映画、時代は1967年だけど、すでに70年代っぽいファッションや車や町並みがなんともイイ感じ。だけど何度も気軽に観るような映画じゃないんだよなあ…。DVD出ても借りないし買わないかも…。

 

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それにしても、デトロイトを舞台とした映画は素晴らしい映画が多い。

古くは『ロボコップ』。最近だと人生ベスト級に好きな『グラン・トリノ』。あと『イットフォローズ』や『ドント・ブリーズ』。ぜんぶ面白い。

 

  

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