今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

観た映画:15時17分、パリ行き

クリント・イーストウッド監督の最新作!
とくれば観ないわけにはいかないですよね!!

www.youtube.com

3月頭の公開映画は『ブラックパンサー』と『シェイプ・オブ・ウォーター』が世間では注目の的ですが、じつは自分の本命はこの『15時17分、パリ行き』!
…でした(過去形w)。

http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/img/gallery/02.jpg

劇場の予告編で何度見てもなぜか笑っちゃう、このやり取り。
「コーラちっちぇえ!」
「フランスだからな」

若い頃、ヨーロッパに放浪の旅をした友人が帰国して、「アメリカ人観光客はヨーロッパ中どこにでもいてな、でかいリュック背負って態度も声もでかい上にガサツでさ、ヨーロッパの人たちからは結構ウザがられてたよ」と言う話をなぜか毎回思い出してしまうという個人的な笑いなんですがw(ホントにそうなのかわかりませんけどね)

ところで、その予告でのセリフ。なぜか本編では違う訳になってました。どうでもいいことだけど予告編ってウソ多いよねw

2015年8月21日、オランダのアムステルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラム過激派の男が無差別殺傷を試みる。しかし、その列車にたまたま乗り合わせていた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、未曾有の惨事を防ぐことに成功する。

という実際に起きたテロ事件を元にした映画。

実話を元にした映画…。Based on a true story…。
よく聞くフレーズですが、実際は脚色バリバリ入れることのほうが多いですよね。

でもこの映画、ベースどころか、主役の3人はなんと本人自らが演じていて、乗客や関係者もできるだけ実際に現場に居合わせた人をかき集めて作られたという、ほぼドキュメンタリー。忠実な再現ドラマ。みたいな映画。
映画的な脚色は、後半はほぼ無くしている。とてつもなく変な映画でした。

確かに今までありそうでなかった映画といえばそうだし、観終わった後のこの奇妙な感覚は確かにこれまで味わったこと無い。無いけども、フツーにこれって手抜きじゃない?って観終わってから口に出ちゃったw いや、手抜きでも何でもないんでしょうけどね、実際は。

 

俳優としても監督としても大好きなイーストウッド御大。

最近、実話モノばかり撮ってるし、町山さんの解説によると、基本撮り直さない超早撮りで、映画はツボさえ押さえとけば十分、みたいなスタイルらしい。

個人的には「グラン・トリノ」「ヒアアフター」「ジャージー・ボーイズ」がベスト3かな、という感じなので、実話色が強くて陰惨なお話よりも、やはり希望が感じられるようなお話が好み。
そういう意味では今回の映画は好きな話だし、テーマもちゃんと受け取れた(つもりだ)し、イイハナシダナーという感動もあり、イーストウッド作品の中では間違いなく好きな部類だと思う。もしかしたらあと2〜3回くらい観たら評価はもっと上がるかもしれないw

 

この映画、何と言っても主人公の3人がとにかく良いんですよ!
普通に考えたらシロートの出演って、見てて痛い感じになりそうじゃないですか。でもなぜかわざとらしさが全然なくて、とにかくフツーのいいやつらに見える。見るからに人が良さそうなんです、3人とも。それがすごく魅力になっている。
人って生き方が顔や雰囲気に出るって言うじゃないですか。それを体現している感じ。

彼らの子供の頃のエピソードや友情は、その辺にフツーにありそうといえばそうなんだけども、その友情がジワジワと観客に伝わって、最終的にはそれが感動にまで結びつくという、よく考えるとイーストウッドの匠の技がないと、こんな芸当はできないのかもしれない。

 

でもやっぱり、ひたすら観光地を遊び回るくだりを延々と見せられると「なにこれ、いつまで続くの?」って絶対思うし、しかもやっと待ちに待ったクライマックスの犯人との対決シーンも、え?ってくらいあっさり終わる。

そして、極めつけはラスト。実際のニュース映像と映画で撮影した映像が組み合わさって、なんだコレ感が最高潮に達するw。いや、じんわりと感動もしてるんだけど、見てる映像はなんだこれ?っていう変な感覚を味わされるw

確かに手抜きにすら感じたりもしましたが、でも「意味のない人生のようで実はそうではないんだよ」という優しい目線や希望を与えてくれる感動も間違いなくありまして。

まあ、とにかく変わった映画ではありました。
そういえば、このあと観た『ダウンサイズ』も変な映画なんだけど、テーマは似たような近いものを感じました。

 

計算され尽くしたスキのない映画よりも、イーストウッドのような細かいコダワリなんてものはバッサリ捨て、大事な部分だけをさらっとシンプルに描く、そんな映画が自分は好きなんだろうなあと再認識できた映画でもありました。

でも、正直人にはあんまりすすめられないw

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こっちは鉄板に面白いです。

グラン・トリノ (字幕版)
 

 

人は選ぶかもだけど、どちらも最終的にはホッコリとした気持ちになれるいい映画。 

マット・デイモン主演の映画で一番好きかも。

ヒア アフター (字幕版)