今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

検察側の罪人

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検察側の罪人 : 作品情報 - 映画.com

まったく観るつもりはなかったんですが、映画館で予告を見て「あれ?なんか面白そうだなー」と、直感的に感じたので公開初日、金曜日のレイトショーで観に行きました。

 

地元では金曜は映画が安くなるというのもあるけど、やはりキムタクと二宮和也の主演というのが効いているのか7〜8割方席が埋まってました女性が多かったように思います。

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変な映画なのでストーリー説明は省きます(うまく説明しずらいしw)。
とりあえず結論から書くと、最初の直感は当たってて、結構楽しめる映画でした。ただ、傑作!名作!とかそう言う温度感では無いです。

うまく言えないけど、映画的なワクワクや楽しさがあったなと思いました。

ただ、…映画を観終わってすぐの感想は、「いくらなんでも詰め込みすぎ!」でしたw

予告を見てるだけだと、キムタクが二宮和也に本当の正義とは何かを教えたり気づかせる映画だと思うじゃないですか?でも全然違う映画でした。

もちろん「正義について」がメインのテーマなのですが、太平洋戦争の話(インパール作戦)とか、政治問題とか、潜入取材とか、家庭不和とか、殺し屋1みたいな組織とか、とにかくいろんな要素がてんこ盛りで混乱するんです。

しかも早口セリフの説明で、ばんばんシーンが移り変わるため、ボーッと観てると何のお話だったのかついていけなくなります。

ですが、この映画。それでもボーッと観てても大丈夫な映画かもしれません。

というのも、自分的には、キムタクが演じるこの変なダークヒーローっぷりだけで十分に楽しめたからです。

監督が詰め込みすぎたメッセージや要素が、説明不足であまり共感できなかったり消化不良だったりするんですが、それも案外許せちゃうというか、いいスパイスくらいに感じられたというか(なんか怒られそう。ごめんなさいw)。それくらいキムタクのキャラが良かったです。

 

自分、普段はテレビもろくに見ないし、ジャニーズとかアイドル知識は最低ラインギリギリって感じだし、そもそもキムタクのドラマや映画もほとんど観たことがないです。

そんな自分でも、今作のキムタクは見てて楽しかったです。

なんだろ、このはじめての感覚w 

予告にもある、二宮和也を指さして「検事でいる意味がない!(ビシッ!)」とした後に机をバシッ!と叩くとことか、単純に見てて楽しい!w

しかもこのシーン。予告だけ見てるとまったくわかんないのですが、俺の正義観を聞け!的なカッコつけた演技じゃないんです。キムタクの心情的には非常にヤバイ焦ったシーンなんです。だから余計に面白い。

あと、キムタクがうかつな行動をして、それを吉高由里子に疑われ詰め寄られるシーンがあるのですが、そこでの言い訳の仕方とか、悟られないように必死こいて平静を装いやりすごすときの表情とか、「何これ、たまらん」とか思ってしまいました。

なんだろこのはじめての感覚w

二宮和也も取り調べシーンでのキレた演技とかなかなか凄いのですが、もともと童顔なので(劇中でも指摘されてて笑ったけどw)ちょっとミスマッチ感があったし、後半はどんどん勢いはなくなるし、キムタクと対峙するにはまだまだって感じでした(ごめんなさいw)

 

とはいえ、やっぱりキムタクの行動に対する動機は説明不足で弱かったと思います。

ただ、そこをじっくり作り込んで、余計な要素を削ってシンプルにしても、わかりやすくはなるかもしれませんが、もしかしたら魅力に欠けたフツーの映画になってたような気もします。
この強引に詰め込んだ濃い要素が、この映画の個性であり魅力なのかもしれません。

 

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ここからは余談。

原田眞人監督の最近の映画は一本も観てないですが、初期の作品二本『さらば映画の友よ インディアンサマー』(1979年)と『ウィンディー』(1984)だけは知ってます。

知ってるって言っても、もう全然内容も憶えてないし、もしかしたら観たのは『ウィンディー』だけだったかも。そんくらいの記憶です。

さらば映画の友よ インディアンサマー』は映画を愛する川谷拓三が「さらば友よ」のアラン・ドロンブロンソンを気取ったり、「雨に唄えば」のダンスを踊ったりする映画愛に溢れた作品で、たぶん甘酸っぱく切ない内容だったような。

『ウィンディ』はもう内容は綺麗さっぱり忘れてるんですが、プロのバイクレーサーに扮する渡辺裕之とその娘のお話。ハーフの子役クリスがやたら可愛かったという記憶だけ残ってますw

原田監督はその当時、よく読んでいたPOPEYE(雑誌)の映画コラムみたいなコーナーで記事をよく書いていて、内容はもう覚えてないけど、文章から伝わってくる映画愛とか熱量とか、アクの強さみたいなのだけは憶えています。

今回の映画を観てて、なぜかそんな当時の記憶が蘇ってきました。

 

たぶん、日本人としては非常に珍しい、日本人の枠にはハマりにくいとても個性的な(悪く言えばクセがあるわがままな)監督なんじゃないかなと思います。

 

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初期の二本。どちらも残念ながらDVDは出てないようなのですが、『ウィンディ』はYouTubeにまるっとありました。たぶん最後まで見るのはつらいと思いますが、かわいいクリスちゃんだけでも見てってくださいw

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どちらかというとこっちのほうをもう一度観たかった。