今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

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ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 : 作品情報 - 映画.com


Twitterを流し見してたら『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』がNetflixで7月に配信ってあったのを見て、色々思い出したので今更ながら感想書いてみます。

ちなみに「ナイブズ・アウト Netflix」で検索してもそんな情報は出てこなかったw しかし7月22日にブルーレイ/DVDはリリースされるとのこと。

監督はあの『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で泣く子をさらに泣かせてしまったライアン・ジョンソン

ま、自分は買わないけどねw
というのもあんまりこの映画には良い印象を持ってないです。


カレンダーチェックしてみると、今年の1月末に映画館で観てました。何と5ヶ月以上も前!色々忘れてるわ〜。たしか当時は結構評判が良くて、絶賛のツイートがたくさん流れてた記憶があるな。

うん、確かに面白い映画だった。けして「損した〜」とか「時間を返せ〜」とかそんなレベルの映画ではなかったのは確か。


サブタイトルからもわかるようにミステリーもの。アガサ・クリスティの映画みたいな昔っぽい雰囲気がポスターや画面からも伝わってくる。

この手の映画って登場人物が多い上に、誰も彼もが怪しいって設定になりがちだし、それぞれの登場人物の背景や事件に対しての動機を説明する必要があるので、なかなか取っつきにくいもの。理解力のない自分の脳みそだと早々とパンクしてしまいがちなんだけど、この映画はひっじょーにテンポ良くわかりやすく、しかもクセのある俳優をうまく使って特徴を分けているので混乱もあまりしなかったし、すんなり理解できた。

もちろん謎解きも二転三転、社会風刺らしき設定まで入れ込んで、そりゃもうアカデミー賞も受賞するわ。うん、素晴らしい腕前だライアン・ジョンソン


しかし、自分は冒頭に書いたように、どうにもこの映画にあまり良い印象を持てなかったんですよね。なんだかスッキリしない気持ちで家路に着いたのを今でも覚えてます。


で、色々思い出してみた。
(ここからはとっても個人的な感想で、裏付けも無いテキトーな内容なのでまったく違う感想持った人は許してねw)

まず、名探偵モノな割には主役のダニエル・クレイグがまったく光ってない。光ってないどころか全然目立ってないし、キャラ付けもよくわかんなかった。
まあ、名探偵をあくまで狂言回しとしての役割にしただけなのかもしれないけど、わざわざダニエル・クレイグなんて使わなくても良いだろうし、続編の話まで出てるって言うじゃないですか。
ちょっと「抜けたキャラ」みたいな味付けはしてあったけど、特に笑えなかったし魅力がなかったんだよなー。あと顔がハッキリしてなかった。途中「これホントにダニエル・クレイグか?」と思うほど。

これが一番この映画のヤなところだったな。最後にそれっぽいセリフを吐いて急に素晴らしい名探偵風を気取るのも取ってつけたように感じてしまったし(もう一回観るとそんなことないのかもしれないけど)

あと、社会風刺。
この映画の主人公というかメインは、移民で使用人のアナ・デ・アルマスちゃんと、雇い主である富豪の爺さん、クリストファー・プラマーなんです。この二人はとっても光っていた。どちらもホントに甲乙つけがたいほど良い顔していたし見ててうっとりするくらい。特にクリストファー・プラマーは映画界の至宝だと思います(それに比べてダニエル・クレイグの印象の無さが余計に…)。

そして、その二人の関係性こそ感動ポイントなのだけど、そこに現代のアメリカの社会風刺的な構造を入れたかったようで、最後のほうはそれがなんとなくノイズに感じてしまった。
この辺はネタバレにつながってしまうので詳しくはかけないけど、自分の思っていたオチになってないというか、風刺を意識するあまりになんかちょっと台無しになってない?って思っちゃった。
んーうまく言えないw そう感じただけだから。

かように、映画としての完成度や面白さというのは十分に高いレベルの映画ではあるんだけど、なにかどこか共感できないという映画だったなあ。

なんでだろうな、と色々考えてみたのだけど、つまるところライアン・ジョンソン監督が鼻につくってだけなのでは?という結論になったw

ホント、表現力や文才が無いので伝えられないんだけど、『LOOPER/ルーパー(2012)』や『スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017)』を思い出すに、やはりこの印象はますます拭えなくて、映画の知識や映画作りの腕前は高いんだけど、優等生な人が見せる「俺ってすごいだろ」感がそこはかとなく前面に出てしまっているというか。

監督のどの作品も面白いし、レベルの高さは感じるのだけど、どうしても好きになれないのはそのあたりにあるのかも。
自分の恥部や暗部をさらけ出す監督の作品は、グロでも難解でもどこか愛せる要素があるけど、「俺すごい」がメインになっているような気がしてライアン・ジョンソン監督はどうにも好きになれない、そんな感想でございました。

好きな人、あしからず。

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スター・ウォーズ/最後のジェダイ (字幕版)

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フェリーニのアマルコルド

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/10/Amarcord_2.jpg

フェリーニのアマルコルド - Wikipedia


8 1/2』に続き、調子に乗ってもひとつ観たのたが、これはまた全然違う映画であった。

seymourgw.hatenablog.com

 

8 1/2』(1963年)からちょうど10年後の1973年公開なので、映画もモノクロからカラーになっていたが、『8 1/2』のスタリッシュというか尖った映像とはちょっとかけ離れたぼんやりした画面という印象。色合いが素敵というわけでもないし、何よりあの手品のような見せ方がほとんどなかった。

しかし。

今作は映っている人たちがメッチャクッチャ濃い!濃すぎ!
例えて言えば、マツコ・デラックス、どんだけ〜の人、ムロツヨシ片桐仁みたいな人たちばっかり集めたようなキャスティング(全然例えられてない気もする)。マストロヤンニはおろか、カルディナーレもエーメもいない(ディヴァインみたいな人はいる)。

 

名もなき市井の人たち、それもとびきりキッタナイおっさん、ソバカス少女、すぐキレるマリオ顔の父ちゃん、馬鹿ばっかりのクソガキたち、胡散臭い司教、ファシスト、たばこ屋のディヴァインw、まだまだてんこ盛り。この街一番の美人とされているのはソフィア・ローレンの出来そこないみたいなおばちゃんだし。

 

そんな人たちが住む街に春の気配が訪れるところから話は始まる。よくわからないが、この街では綿毛が飛び始めると春が来るらしい。

前述した濃い人たちの日常のエピソードが脈絡あるのかないのかよくわからないまま、淡々と盛り上がりそうで盛り上がらず、何かが起こりそうで起こらない。ドラマチック要素があるようで無い。いや、ドラマチックにわざと描いてないのだろう。なのでどーしても退屈に感じちゃうんだけど、ギリギリのとこでまたエピソードが唐突変わるので、いつの間にか時間が過ぎて、気がつくとこの街の人たちの、というか誰にもある(あった)何気ない日常を追体験させられてしまったような感覚になる。

夏が来て、秋になりまた冬が来て、冒頭の綿毛がまたもや舞い、この街の人々の1年間が過ぎていく。 見終わると、あのどうしようもなく濃い人たちのどうしようもないエピソードが愛おしくなっているから不思議。

 

こういう構造の映画って他にもあったような気がするけど思い出せない。強いてあげるとすればリチャード・リンクレイターの『ビフォア・サンライズ』を観たときみたいな感覚かな。

好みで言うとあまり好きではないし、もう一度観ようとは思わないけど、頭や心の中を素通りするような映画ではないのは確か。

そんな感想でした。

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8 1/2

名前くらいは当然知っているが、フェデリコ・フェリーニの映画はこれまで一本も観たことはありません。

若い頃からずっとエンタメ性を映画に求めていたので、この手(どの手?)の映画はご多分に漏れず「難解で退屈だろう」という偏見により優先順位はどうしてもあと回しになっていたんだけど、Amazonプライムのシネフィルなんとかチャンネルのお試し期間がロクに利用しないまま終わりそうだったので、この半強制自宅軟禁状態を利用して軽い気持ちで観てみました。

 

他にも『フェリーニのアマルコルド』『道』とあったのだけど、変なタイトル(はっかにぶんのいち)なのと、マルチェロ・マストロヤンニのカッコいい画像で選びました。どういう映画なのか、まったく前知識ナッシング。

https://eiga.k-img.com/images/movie/53757/gallery/1_large.jpg?1396889178

映画.com

感想
「え、こんな映画だったの?思ったより全然面白かった!」

 

ただし冒頭からしばらくはやっぱりよくわかりません。たぶん多くの人は「何これ?難解なアート映画?」って思うはず。

でも、最初っから映像がとにかく面白くて、新鮮!とても50年以上も前の映画に見えません。
いきなりワーグナーワルキューレの騎行地獄の黙示録やブルースブラザーズで有名なあれ)が唐突に流れるし、モノクロ画面も美しいのでついつい引き込まれてしまいました。なんかね、白トビしてたりするんだけど、マストロヤンニの黒いサングラスやスーツがめっちゃビシッと締まってってキレイなんです。モノクロだけど、仮にカラー版があったとしても、おそらく美しさは変わらないんじゃないかな。それくらい気を遣っているように感じました。

ストーリーは、最初はなんだかよくわかんないんだけど、主役の映画監督(マストロヤンニ)が、思ったように映画製作ができない現実と、そこから逃避するための妄想の狭間を行ったり来たりするというお話。

なんだか『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』みたいな映画かなと思いました。

小難しい映画でもなんでもなくて、ほぼコメディ映画みたいなもんです。途中で何度か大笑いしました。監督の妄想がひどすぎてw どんだけ都合良いこと考えているんだお前!って。

いや、この映画の面白さは、何と言っても映像のほうですね。ストーリー(セリフ)をちゃんと追わずにぼんやりみてても、映像だけでも面白いんです。ほんと。

あまりカット割りが無くて、カメラが動きつつも対象になる人やモノが次々に変化するのがとっても面白い。なんだか手品を観ているような感覚。ほら、手品師って花が手もとから一輪、また一輪と出して、終わりかと思ったら最後にハトがバッと飛び出てびっくり!みたいなあの感じというか(伝わらないかなw)。

2時間超えの長い映画なんだけど、最初から最後までずっとこういう見せ方の工夫がすごくて、まあ飽きない。子供の影を追いかける母親の影が壁にかかるシーンは思わず「おお!」と声がでました。

あと、ビックリしたのが、映画監督の友人が女性と二人でダンスするシーンがあるんだけど、それが『パルプ・フィクション』のトラボルタとユマ・サーマンのあのクラブでのダンスシーンそっくりで、ここでも思わず「パルプ・フィクションかよ!」って声がでちゃいました。いや、タランティーノが真似したほうなんですけどねw あんたパクりすぎw

この映画監督(マストロヤンニ)は、当然ながらフェデリコ・フェリーニ自身を投影しているんだろうな。映画監督ってこれくらい周りがやかましくてプレッシャーがあって、そして恐ろしいくらい自分勝手な妄想をしているんだろうか。

ラストはほのぼのというか、人生万歳みたいな感じで、ちょっと『蒲田行進曲』を思い出しました。

 

で、観終わったあとに、この映画についていつもの町山さんの解説を聞いてみたら、デビッド・リンチテリー・ギリアム、タイトルだと『バートン・フィンク』『ビッグフィッシュ』『未来世紀ブラジル』『ライフ・アクアティック』などなど数え切れない映画が影響を受けているとのこと。なるほど、言われてみれば確かにねぇ。バードマンや蒲田行進曲なんてのしか思い出せないなんて、まだまだだなあ・・・w


調子に乗って、『フェリーニのアマルコルド』も観てみようかな。

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8 1/2 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2013/01/11
  • メディア: Blu-ray
 
8 1/2 (字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 

 
影響を受けたであろう映画

Brazil (字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 
ビッグ・フィッシュ (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
バートン・フィンク (字幕版)

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  • 発売日: 2015/08/25
  • メディア: Prime Video