今日の経験値

主に映画の話。70〜80年代の映画やカルチャーを懐かしむことが多いかも。

『おとなの恋は、まわり道』/『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

まだらボケ進行中のとんぬらです。

うっかり忘れないうちに観た映画の感想書いておきたいと思いますが、それほど熱っぽく語りたい映画では無かったので二本立て。さらりと感じた印象だけ。

 

おとなの恋は、まわり道

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キアヌ・リーブスウィノナ・ライダーのポスターを劇場で見つけて、「あ、これは次に観にいこう」と即決。どっちも好きな俳優だし。

 

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普段は『ジョン・ウィック』とか『ストレンジャー・シングス』サイコーとか言ってるような人なので、恋愛映画はあんまり観ません。

なので、本作も恋愛映画(ラブコメ)として良い出来なのか正直よくわかりませんが、少なくとも若いカップルが「素敵な映画だったね」と観終わってからカフェでお茶しながらイチャイチャするための映画ではないことだけは確かです。

もしあなたが『ブリジット・ジョーンズの日記』や『50回目のファーストキス(洋画のほう)』のようなラブコメを期待している20〜30代くらいの人ならたぶんガッカリすること請け合いです。

ウィノナ・ライダーはもうくたびれたお母さん役とかやってるし、今作でもだいぶヨレヨレw。しかも付き合ってた元彼氏の結婚式に招待されてノコノコ出席する、ネガティブなことばっかり言ってる役。

方やキアヌ・リーブスは、偏屈を通り越した、いわゆるコミュ障というか人間嫌いというか、いやもっと酷いPTSDのような心の傷を持った人という設定。しかも痰を吐く時の「カーッ、ペッ!」の「カーッ」が癖というとんでもない役。

さらにこの映画が厳しいのは会話劇というところ。ほぼ全編ずーーーーーーっと二人の会話のみ。それも最初から最後までずっといがみ合い、他人や世間の文句を言い合い、酷い身の上話を延々繰り返す。

主役の二人以外の登場人物はセリフも無いし、顔すらもよく見せず、二人が他の人に絡むこともほとんど無し。

カメラも二人を並べて正面から撮っているショットばかり。たまに風景も映したりするけど、綺麗でも何でもない本当につまんない絵面で退屈この上ない(個人的感想ということでw)。まるで舞台劇のよう。

極めつけは、もう見るに堪えないくらいムードもへったくれも無い突然のセックスシーンw

そんなラブコメ誰が観て喜ぶの?と思うんですが、でも、二人の会話をずっと聞いていると既視感が…まるで妻との会話のようなw
そう、長年連れ添った夫婦のように二人は気のおける物同士なんです。

主人公たちと同じくある程度歳を重ねた、非モテリア充の人たち向け映画なんでしょうね。意地悪が過ぎるくらい酷い扱いなんですが、でも最後の最後、二人の表情が一瞬すごく輝くと言うかキレイなショットがあって、そこだけ「あ、映画っぽい」と思いました。

これ、低予算で3週間くらいで撮影終了したんじゃないかとか、舞台劇でいいんじゃないの?とか色々文句たらたらで観てたのですが、観終わってからなぜか少しだけ心に残ってしまうという変な映画でした。

たぶんキアヌとウィノナだからこそ成り立つ映画でもあるんじゃないかなあとも思いました。

オススメはしませんw

 

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

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ハリー・ポッターシリーズは最初の2作だけしか観たことがなく、ファンタスティック・ビーストも前作は観てないし原作も当然ながら読んでません。 

そんな人がいきなり今作を観るとどうなるのか、という感想です。ハリポタやファンタビ好きな人には、いっさい読む価値ありませんので以下すっ飛ばして下さい(もしかしたら怒るかもしれませんのでw)。

 

正直、退屈な映画でした(ごめんなさい)。

やっぱりキャラクターの背景や、どういうつながりがあるのか知らないと、相当厳しいのではと感じました。

もちろん、キャラの立ち位置とか関係性は何となくはわかるんです。だからストーリーも全くわからずってわけでも無かったのですが、なんて言えばいいのだろう。映像として面白くなかったです。

ファンタジックでワクワクするような映像が観られれば、正直ストーリーはよくわからなくてもいいかな、と思っていたのに、その肝心な映像がつまんなかったという…。

1920年代の渋いヨーロッパの街並み、落ち着いた色調、センスの良い衣装。豪華なキャスト。ここまでは言うこと無いのですが、派手なアクションシーンは暗くて何が起きているのかよくわからず、カメラワークもなんか気持ち良くないというかイライラするし、サスペンス要素もなくドキドキもしないという。何より肝心の「魔法」がつまんないというかなんというか。

前作は評判良かったみたいなので、機会があればそちらを観てみようかと思います。

登場する俳優は豪華で魅力的でした。皆カッコいいしキレイだし、絵になってました。

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キアヌとウィノナはこれまで3回も共演しているそうです。 

ドラキュラ (字幕版)

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50歳の恋愛白書 (字幕版)

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まずはこれを先に観とけって話ですよね。 

 

パッドマン 5億人の女性を救った男

いやー、ヤバいですよ!この映画。
本当に面白かったし、めちゃくちゃ震えました。

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パッドマン 5億人の女性を救った男 : 作品情報 - 映画.com

 

はたして女性の生理現象をテーマにした映画なんてかつてありましたかね?
比喩的な扱いとしてはもちろんあると思いますが、思いっきりストレートにそのものを扱った映画は無いですよね?(あるかもしれませんが私は知らない)

男性にとっては妊娠出産と同じく、まったく実感できないものだし、表面的な知識はあっても、深く知る事も無いし話題にすらしませんよね。普通は。

しかし、その女性の生理の悩みや問題に真正面から取り組んだ男がインドにいました。

それが、この映画の主人公パッドマン(ラクシュミ)こと、実在の人物であるアルナーチャラム・ムルガナンダムさんです。

これは実話であり(脚色はしていると冒頭で説明は入りますが)、今なお現在進行形で続いている物語なのです。

ほんとおぉぉぉぉに、すごい話です!

実話だしポスターや予告見てわかるように、生理用品をインドで普及させ多くの女性を救った男、という事実があるのでネタバレも何もありませんが、まっさらで観たい人はとっとと映画館に行って下さい。

ま、いつもの駄文なのでそんな気にしなくてもいいかもですがw

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あらすじ

時代は2001年。
もう世の中にはインターネットが台頭し始めている頃なのに、主人公ラクシュミの住んでいる村はとても貧しく、生理用品はとても高価なため、女性たちは不潔な布で処理をしており、それゆえ感染や病気のリスクも背負っています。
さらに「生理は不浄で穢れたもの」という古い価値観をいまだ持っており、女性はその期間中は家の中ではなく檻のような外のベランダで寝させられ、料理すらできないという古い慣習を何の疑問もなく受け入れて生きています。

ラクシュミは愛する妻をそんな状態から救いたい一心で生理用品の開発を始めますが、周囲の理解をまったく得られず孤立し、ついには村を追い出されてしまいます。

しかし、彼は諦めるどころか、ますます生理用品の開発に取り憑かれてしまい、ついに安価で誰でも手に入れられる商品開発に成功します。

ラクルな実話を題材にした映画はたくさんあるし、この映画もまあ信じられないようなお話なのですが、でもその事実の面白さだけで感動してるわけじゃあないんです。

映画として良く出来ている

映画の出来不出来を語れるほどの知識はありませんが、でも自分の知識レベルでも十分に感心するくらいよく出来ている映画だなーと感じました。

上映時間としては少し長いんです。137分。
前半、主人公のラクシュミが村を去るところでインターミッション(休憩時間)の文字が入るので、もしかしたらこれでも海外向けにカットしたのかもしれません。

ですが、ですが、この映画まったく飽きること無く、それどころかワクワクが止まらず、最後のほうはジェットコースタームービーのような盛り上がりになるんです。

無駄がないんです。たぶん。

冒頭から長い歌で始まるのですが、ちゃんと主人公が妻を得た喜びをしっかり見せているし、主人公がどんな人物なのか、何を大事にして生きているのか、しっかり刷り込まれるので、その後の展開がちゃんと納得できるようになってます。

細かいところも丁寧に作っていて、たとえば、主人公はいつもシャツの裾を出していて、妻はいつも出勤前にズボンに入れて送り出すというシーンがあるのですが、それはあとあとの展開に効いてくるばかりか、最後は原点に立ち返ったようなシーンにもなってます。

主人公の友だちに借りたちょっとしたお金のやり取りとか、細かいとこもあとでしっかり回収してじんわりさせたり、とか。

あと、今大ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』のようなライブシーンもあります!
うそですw ライブではなく演説シーンです。

ずっと、主人公の悩み、苦しみ、不安、絶望を描いてきたあとのクライマックスとなるこの演説シーンで感動がブワーッと押し寄せてくるとこなんて、まさに『ボヘミアン・ラプソディ』みたいだなと思いました。主人公はフレディ・マーキューリーと同じくらい、いやそれ以上にカッコいいかもしれません。

ああ、ここで映画は終わるんだな、と思いましたが、 しかしそこはインド映画 w ここからまだもうひとつびっくりするような楽しさ(というか切なさ)を用意してくれてます!大人ならではの感情の揺さぶりがあります。もうどんだけ泣かせにかかるんだよ!と。しかもちゃんと粋な演出を入れてくるんですよ。

ダンガル きっと、つよくなる』でもそうでしたが、ベタと言えばベタなんです。でもこんだけ揺さぶられると抵抗できませんw


役者さんたちもまた良いんですよね。奥さんのガヤトリ役の人も、協力者のパリー役の人も美しいし、ヒゲモジャの友人も最高です。

主人公の行動が大事なことを示唆している

最初に書いたように、単なる事実に基づいたサクセスストーリーというだけでは無く、この主人公の行動にたくさんの大事なことが含まれているように感じました。

同じように「変人」であり、ぶれない心で成功した代表格であるスティーブ・ジョブズの人生も破格に面白いお話だったりしますが、自分とはまったく違う世界に感じるし、まったく真似できないストイックさに感じます。それゆえのヒーロー性や憧れも感じるのですが。

もちろんこのパッドマンの決してあきらめない行動、成し遂げた功績は到底真似できないものです。

ただ、「誰でもが持ち得ている大事なものを、あなたは見てないだけなんじゃないの?」という強烈なメッセージをパッドマンは主張してくるんです。

妻への愛、好奇心、人のためになることの尊さ、生きがい、前を向くポジティブさ、慣習を打ち破る気持ち、仕事に取り組む真面目さ、などなど。たくさんの大事な示唆に富んでいます。

そんな中でも、自分が一番大事なのは「ユーモア」なんじゃないかと思いました。しんみりしたシーンはほとんどありません。この映画自体もコメディですし。

 

ラクシュミの住んでいる村はとても貧しいですが、とても美しく撮られていますし、住んでいる人たちの生活も、とても豊かな暮らしのように映されています(実際はそうではないかもしれませんが)。

ラクシュミが成功し、パッドマンとしてニューヨークの国連で演説するとき、バックには大都会の喧騒が映し出されていて、とても対象的に使われているのも面白かったです。

ラクシュミが村に持ち帰りたかったのは、大都会の富ではなく、古い慣習に縛られた人々(彼らは無知ゆえにほんとに怖ろしい)に、知識がもたらす自由と公平さだったのだと思います。

 

皆さん年末の忙しい最中で、映画どころじゃないとは思いますが、ぜひぜひ観に行って欲しい映画です。

と、忙しさを理由にブログをさぼってばかりいる私からのオススメでしたw

 

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そういえば、私の大好きな『マダム・イン・ニューヨーク』もこの映画に似てますね。
女性の自立を描いていますし、最後は感動的な演説(スピーチ)で泣かせてくれますし、どちらもインド英語がキーポイント(と思ったら、この映画の監督は、パッドマンの監督の奥さんらしい)。

 

おまけ
本物のパッドマンのTED。

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2018年11月に劇場で観た映画

あーもう、仕事がじわじわ忙しいっ!
にもかかわらず現実逃避にツイッターだらだら見たり、禁断の『ゲーム・オブ・スローンズ』見始めたり。そんな時間の浪費が激しい12月。

11月に観たその他の映画。
さらっと記録だけ。

ルイスと不思議の時計

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私的「こんな容姿に生まれたかった男」ナンバーワン。
久しぶりのカイル・マクラクランを思う存分堪能できてよかったです。
歳とってもいい男だなー(異論は認めます)。

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デス・ウィッシュ』とこの『ルイスと不思議の時計』。
イーライ・ロス監督の映画を立て続けに二本劇場で観られるというのにもビックリだけど、しかもこんな優良児童向けのような映画というのにも驚き。

普段、ハリー・ポッターとかファンタスティック・ビーストとか、魔法ファンタジー系ってあんまり興味がなくって、これもあんまり期待はせずに観たのですが、いやいや、結構良かったです。

お話の流れとしてはまっとうな優良児童映画なので、小さな子どもたちが普通に楽しめる内容なのですが、そこはイーライ・ロスらしく、ちょっとだけ悪趣味テイストも入れてあったりしてファンも楽しめる映画になってると思いました。

特に良かったのが、登場人物たちの描き方。
主人公のルイスも、ジャック・ブラックも、ケイト・ブランシェットも、何かしら傷を抱えていて世間の本流からは外れてしまった人たちという設定。

彼らのお互いの距離感がとても大人っぽいというか、相手を尊重しながらも温かい目で見守っているというところがグッと来て、最後はちょっとウルッときました(泣きはしませんでしたがw)。

今回、ジャック・ブラックはどちらかというと抑えめな演技でした。
ケイト・ブランシェットは相変わらず抗えない美しさで、それだけでもう観て良かった〜、となります。『キャロル』や『オーシャンズ8』でうっとりした方は、こっちも見逃さないほうが良いですよ!

さらに、ツイン・ピークスのチェリーパイ好き捜査官まで出てくるんですから、なんとも贅沢な映画です。

ひとつだけ言わせてもらうと日本語タイトルがいかにもで没個性な感じなのが、(自分的には)ちょっともったいないなーと思いました。

 

ボヘミアン・ラプソディ

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大ヒット過ぎて、ツイッターやブログではもう、彼らに纏わる小ネタですら掘り返され語り尽くされている感があり、いまさら自分のクイーン思い出話なんて書いてもしょうがないので、特に感想は書きませんw

音楽の力、映画の力、どちらもスゲーって映画でした。

 

ヴェノム

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なんでだろう。全然乗れなかった。
思ってた映画と全然違ってた。正直バディムービーとか自分は期待してなかったので…。ツイッター界隈での盛り上がりっぷりが理解できず、取り残され感が大きいw

ヴェノムって原作でも人気高いようだけど、こういうキャラなのかな…。

正直、自分はサム・ライミ監督の『スパイダーマン3』に出てきたヴェノムがずっと好き(ていうかサム・ライミスパイダーマンは3作ともすべて傑作だと思ってます)。

今回のヴェノムはなんか拍子抜けしちゃいました。ごめんなさい。

 

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 カイル・マクラクランって見た目も名前もロボットみたいですよねw

 

 まずはこれを見てからじゃないと。ボブ・ゲルドフのことも思い出してね。

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 人間が描けるのはサム・ライミだけ!(半分ウソ)