あのこは貴族
門脇麦ちゃんの清楚でお嬢様的な佇まいが好きなので、映画館に貼られていたポスターにつられて観てきました。
今回は、まさにお金持ちの箱入り娘という適役で、ほんとうにそういう育ちの人なんじゃなかろうかと思うほどハマっていたと思います。
東京のいわゆる上流階級の娘として育ち、世間知らずにもほどがある門脇麦。
かたや地方出身で努力を重ね慶応大学に合格するも、金銭的な問題により中退し、キャバクラで食いつなぎながらコネを使って企業に勤めている苦労人の水原希子。
まったく接点のなさそうな二人をつなぐのが、トップ・オブ・ザ上流階級の高良健吾。
というお話(原作は山内マリコさんの小説)。
思ってたよりずっと面白かった。
エンタメでは無いし、メロドラマでもドラマチックな展開もほぼ無い、かなり落ち着いたトーンの映画。
人物の微妙な動きや表情、繊細なカメラの動きや、ところどころに含まれるドキッとするようなセリフなどで見せていくような感じなので、集中して鑑賞できる映画館で観てよかった。DVDや配信を待ってたら、自分の場合おそらくホゲ~っとスマホをいじったり、隣で家族がギャーギャーうるさかったりで、あまり頭に入ってこなかったかもしれないw
映画って、なにかしら非現実的な世界を味わえるのが楽しいじゃないですか。宇宙に行ったり、巨大ザメに襲われたり、高層ビルでテロリストと戦ったり、知らない外国の生活を感じたり。
この映画は、同じ日本(東京)に住みながら、本当に生息するのかどうかもわからないような富裕層の生態が見られるという点で、主人公にまつわるパートはとても楽しめた。まあセレブの生活を覗き見するような下世話な興味なのですが。
(C)山内マリコ/集英社・「あのこは貴族」製作委員会
あのこは貴族 : フォトギャラリー 画像(16) - 映画.com
そういう意味では、我々一般人側である水原希子のパートは、「ああ、そういう感じだよねどこも」と共感しつつもちょっと退屈だったし、厳しくてうんざりするような現実をわざわざ見たくもないなあと思ったり。まあ対比だからしょうがないけど。
ただ、一点だけ違和感があって、水原希子(あまり知らないけど)は圧倒的なモデル体型や独特の存在感が隠れてなくて、もうちょっと対比としては見た目を落としても良かったんじゃないかと思わなくもなかった。
結婚する予定の門脇麦の前にあらわれた、高良健吾とつきあっているらしき水原希子。門脇麦と水原希子がついに出会う(邂逅)シーンでは、普通に考えると修羅場というドラマチックな展開になると思きや、そうはならず、この映画のテーマらしきセリフを持って意外な展開になっていくのが面白いなあと思った。
この映画は、ほぼ女性の視点で描かれており(監督も女性ですし)、最初からずっと家族や世間や社会のなかで、女性が普段投げかけられる理不尽なことがさらりと仕込まれている。ジェンダー問題にうとい男性にとって、ハッとさせられるようになっている。
ただ、この映画が面白いのは、強い立場の男性側である高良健吾もまた、自由に生きていられない虚しさや諦観があるようにも描かれていて、そこもまた面白いなあと思った。
あと、高良健吾は「雨男」という設定で、とにかく何かにつけ雨が降るのだが、雨のシーンにも色んな表情があってそれも良かったな。ラストはちゃんと晴れてよかったね。
いっつもポップコーン映画ばかり好んで見ているけど、たまにはこういう映画も悪くないなあ。
あ、ところでタイトルはなんで貴族なんだろう。貴族って皇族に関わる家系とかそんなイメージなんだけど、上流階級とかじゃだめなのかな。ありきたりでインパクトないと思ったのかな。
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原作小説を書いた山内マリコさんはWikipediaによると富山県出身とのことなんだけど、劇中で水原希子が帰省する街のシーンで遠くにきれいな山脈が見えるのだけど、あそこは富山県なんだろうか。
まじめそうな門脇麦ちゃんのセックスシーンが拝めます。映画はつまんなかったな・・・すまぬ。
来る
去年観たんだけどまだ感想書いてない映画が何本か残ってるんですよ。
記憶力もかなり低下しているので、もう細かいとこは覚えてないですが(イマイチだった映画は特に)、とりあえず与太話として感想書いておきます。
『来る』
映画好きの皆さんの間でも話題になっていた、中島哲也監督の新作。っても、自分はあまりこの監督のことよく知らなくて、唯一観たのはレンタルで借りた『告白』のみ。
その時の感想は、「中学生か高校生くらいが喜びそうな映画?」と思ったくらい(上から目線でごめんなさい)。なので今作も最初っから期待してなかったです。
観終わった直後も正直よくわかんなくて、面白いと思ったのかどうかうまく消化できてなくモヤモヤしてたところに、一緒に観に行った妻が開口一番「つまらんかったあぁぁ」と言ったので、つい「だよなぁ」とつぶやいてしまったw
確かにイラッとするようなところもいっぱいあったので、「うん、確かにつまんなかった」という事にしましたw
それからしばらくツイッターやブログを眺めていたら、徐々に感想がちらほら目に付くようになって、ふむふむと読んでみたら、「なるほど!こういう楽しみ方だったんだ」、「これ、ホラー映画じゃないだ」とか、いろいろ面白い見方を知ることができて、気づいたら「そんなに悪くなかったかも」と考え直してましたw
いや、どっちかというと嫌いなタイプの映画だし、それでも30点が60点くらいになったくらいの感覚なんですが、でも後半の仰々しい対決シーンとか、松たか子のキャラクターとか、妻夫木の気持ち悪さとか、それなりに楽しかったなと。
そうそう、あとで思い出したんだけど、白石晃士監督の『貞子VS伽椰子』ってすごいバカバカしい映画があったけど、自分はあれ結構好きで「あの感覚」で観れば良かったんだと気づいたというか。そう考えると確かに面白かった(流されやすいw)。
とはいえ、ね、やっぱりイクメンの欺瞞とか、田舎社会の窮屈さとか、誰にも悩みをわかってもらえない妻の憂鬱とか、子供番組の唐突な挿入とか、こういうのカッコいいでしょ?メッセージ性あるでしょ?みたいなのがすんごく鼻につくというかノイズになってしまって、イラッとしたのも確かです。
最初っからバカっぽくてカッコいい松たか子キャラ路線で良かったんじゃないのかな?
というのが私の結論。
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白石晃士監督。私はまあまあ好きです…w
中島さん。気が向いたらほかも観てみます。
検察側の罪人
まったく観るつもりはなかったんですが、映画館で予告を見て「あれ?なんか面白そうだなー」と、直感的に感じたので公開初日、金曜日のレイトショーで観に行きました。
地元では金曜は映画が安くなるというのもあるけど、やはりキムタクと二宮和也の主演というのが効いているのか7〜8割方席が埋まってました。女性が多かったように思います。
変な映画なのでストーリー説明は省きます(うまく説明しずらいしw)。
とりあえず結論から書くと、最初の直感は当たってて、結構楽しめる映画でした。ただ、傑作!名作!とかそう言う温度感では無いです。
うまく言えないけど、映画的なワクワクや楽しさがあったなと思いました。
ただ、…映画を観終わってすぐの感想は、「いくらなんでも詰め込みすぎ!」でしたw
予告を見てるだけだと、キムタクが二宮和也に本当の正義とは何かを教えたり気づかせる映画だと思うじゃないですか?でも全然違う映画でした。
もちろん「正義について」がメインのテーマなのですが、太平洋戦争の話(インパール作戦)とか、政治問題とか、潜入取材とか、家庭不和とか、殺し屋1みたいな組織とか、とにかくいろんな要素がてんこ盛りで混乱するんです。
しかも早口セリフの説明で、ばんばんシーンが移り変わるため、ボーッと観てると何のお話だったのかついていけなくなります。
ですが、この映画。それでもボーッと観てても大丈夫な映画かもしれません。
というのも、自分的には、キムタクが演じるこの変なダークヒーローっぷりだけで十分に楽しめたからです。
監督が詰め込みすぎたメッセージや要素が、説明不足であまり共感できなかったり消化不良だったりするんですが、それも案外許せちゃうというか、いいスパイスくらいに感じられたというか(なんか怒られそう。ごめんなさいw)。それくらいキムタクのキャラが良かったです。
自分、普段はテレビもろくに見ないし、ジャニーズとかアイドル知識は最低ラインギリギリって感じだし、そもそもキムタクのドラマや映画もほとんど観たことがないです。
そんな自分でも、今作のキムタクは見てて楽しかったです。
なんだろ、このはじめての感覚w
予告にもある、二宮和也を指さして「検事でいる意味がない!(ビシッ!)」とした後に机をバシッ!と叩くとことか、単純に見てて楽しい!w
しかもこのシーン。予告だけ見てるとまったくわかんないのですが、俺の正義観を聞け!的なカッコつけた演技じゃないんです。キムタクの心情的には非常にヤバイ焦ったシーンなんです。だから余計に面白い。
あと、キムタクがうかつな行動をして、それを吉高由里子に疑われ詰め寄られるシーンがあるのですが、そこでの言い訳の仕方とか、悟られないように必死こいて平静を装いやりすごすときの表情とか、「何これ、たまらん」とか思ってしまいました。
なんだろこのはじめての感覚w
二宮和也も取り調べシーンでのキレた演技とかなかなか凄いのですが、もともと童顔なので(劇中でも指摘されてて笑ったけどw)ちょっとミスマッチ感があったし、後半はどんどん勢いはなくなるし、キムタクと対峙するにはまだまだって感じでした(ごめんなさいw)。
とはいえ、やっぱりキムタクの行動に対する動機は説明不足で弱かったと思います。
ただ、そこをじっくり作り込んで、余計な要素を削ってシンプルにしても、わかりやすくはなるかもしれませんが、もしかしたら魅力に欠けたフツーの映画になってたような気もします。
この強引に詰め込んだ濃い要素が、この映画の個性であり魅力なのかもしれません。
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ここからは余談。
原田眞人監督の最近の映画は一本も観てないですが、初期の作品二本『さらば映画の友よ インディアンサマー』(1979年)と『ウィンディー』(1984)だけは知ってます。
知ってるって言っても、もう全然内容も憶えてないし、もしかしたら観たのは『ウィンディー』だけだったかも。そんくらいの記憶です。
『さらば映画の友よ インディアンサマー』は映画を愛する川谷拓三が「さらば友よ」のアラン・ドロンとブロンソンを気取ったり、「雨に唄えば」のダンスを踊ったりする映画愛に溢れた作品で、たぶん甘酸っぱく切ない内容だったような。
『ウィンディ』はもう内容は綺麗さっぱり忘れてるんですが、プロのバイクレーサーに扮する渡辺裕之とその娘のお話。ハーフの子役クリスがやたら可愛かったという記憶だけ残ってますw
原田監督はその当時、よく読んでいたPOPEYE(雑誌)の映画コラムみたいなコーナーで記事をよく書いていて、内容はもう覚えてないけど、文章から伝わってくる映画愛とか熱量とか、アクの強さみたいなのだけは憶えています。
今回の映画を観てて、なぜかそんな当時の記憶が蘇ってきました。
たぶん、日本人としては非常に珍しい、日本人の枠にはハマりにくいとても個性的な(悪く言えばクセがあるわがままな)監督なんじゃないかなと思います。
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初期の二本。どちらも残念ながらDVDは出てないようなのですが、『ウィンディ』はYouTubeにまるっとありました。たぶん最後まで見るのはつらいと思いますが、かわいいクリスちゃんだけでも見てってくださいw
どちらかというとこっちのほうをもう一度観たかった。