観た映画:15時17分、パリ行き
クリント・イーストウッド監督の最新作!
とくれば観ないわけにはいかないですよね!!
3月頭の公開映画は『ブラックパンサー』と『シェイプ・オブ・ウォーター』が世間では注目の的ですが、じつは自分の本命はこの『15時17分、パリ行き』!
…でした(過去形w)。
劇場の予告編で何度見てもなぜか笑っちゃう、このやり取り。
「コーラちっちぇえ!」
「フランスだからな」
若い頃、ヨーロッパに放浪の旅をした友人が帰国して、「アメリカ人観光客はヨーロッパ中どこにでもいてな、でかいリュック背負って態度も声もでかい上にガサツでさ、ヨーロッパの人たちからは結構ウザがられてたよ」と言う話をなぜか毎回思い出してしまうという個人的な笑いなんですがw(ホントにそうなのかわかりませんけどね)。
ところで、その予告でのセリフ。なぜか本編では違う訳になってました。どうでもいいことだけど予告編ってウソ多いよねw
2015年8月21日、オランダのアムステルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラム過激派の男が無差別殺傷を試みる。しかし、その列車にたまたま乗り合わせていた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、未曾有の惨事を防ぐことに成功する。
という実際に起きたテロ事件を元にした映画。
実話を元にした映画…。Based on a true story…。
よく聞くフレーズですが、実際は脚色バリバリ入れることのほうが多いですよね。
でもこの映画、ベースどころか、主役の3人はなんと本人自らが演じていて、乗客や関係者もできるだけ実際に現場に居合わせた人をかき集めて作られたという、ほぼドキュメンタリー。忠実な再現ドラマ。みたいな映画。
映画的な脚色は、後半はほぼ無くしている。とてつもなく変な映画でした。
確かに今までありそうでなかった映画といえばそうだし、観終わった後のこの奇妙な感覚は確かにこれまで味わったこと無い。無いけども、フツーにこれって手抜きじゃない?って観終わってから口に出ちゃったw いや、手抜きでも何でもないんでしょうけどね、実際は。
俳優としても監督としても大好きなイーストウッド御大。
最近、実話モノばかり撮ってるし、町山さんの解説によると、基本撮り直さない超早撮りで、映画はツボさえ押さえとけば十分、みたいなスタイルらしい。
個人的には「グラン・トリノ」「ヒアアフター」「ジャージー・ボーイズ」がベスト3かな、という感じなので、実話色が強くて陰惨なお話よりも、やはり希望が感じられるようなお話が好み。
そういう意味では今回の映画は好きな話だし、テーマもちゃんと受け取れた(つもりだ)し、イイハナシダナーという感動もあり、イーストウッド作品の中では間違いなく好きな部類だと思う。もしかしたらあと2〜3回くらい観たら評価はもっと上がるかもしれないw
この映画、何と言っても主人公の3人がとにかく良いんですよ!
普通に考えたらシロートの出演って、見てて痛い感じになりそうじゃないですか。でもなぜかわざとらしさが全然なくて、とにかくフツーのいいやつらに見える。見るからに人が良さそうなんです、3人とも。それがすごく魅力になっている。
人って生き方が顔や雰囲気に出るって言うじゃないですか。それを体現している感じ。
彼らの子供の頃のエピソードや友情は、その辺にフツーにありそうといえばそうなんだけども、その友情がジワジワと観客に伝わって、最終的にはそれが感動にまで結びつくという、よく考えるとイーストウッドの匠の技がないと、こんな芸当はできないのかもしれない。
でもやっぱり、ひたすら観光地を遊び回るくだりを延々と見せられると「なにこれ、いつまで続くの?」って絶対思うし、しかもやっと待ちに待ったクライマックスの犯人との対決シーンも、え?ってくらいあっさり終わる。
そして、極めつけはラスト。実際のニュース映像と映画で撮影した映像が組み合わさって、なんだコレ感が最高潮に達するw。いや、じんわりと感動もしてるんだけど、見てる映像はなんだこれ?っていう変な感覚を味わされるw
確かに手抜きにすら感じたりもしましたが、でも「意味のない人生のようで実はそうではないんだよ」という優しい目線や希望を与えてくれる感動も間違いなくありまして。
まあ、とにかく変わった映画ではありました。
そういえば、このあと観た『ダウンサイズ』も変な映画なんだけど、テーマは似たような近いものを感じました。
計算され尽くしたスキのない映画よりも、イーストウッドのような細かいコダワリなんてものはバッサリ捨て、大事な部分だけをさらっとシンプルに描く、そんな映画が自分は好きなんだろうなあと再認識できた映画でもありました。
でも、正直人にはあんまりすすめられないw
ーーーーー
こっちは鉄板に面白いです。
人は選ぶかもだけど、どちらも最終的にはホッコリとした気持ちになれるいい映画。
マット・デイモン主演の映画で一番好きかも。
観た映画:ブラックパンサー
3月公開の目玉?ブラックパンサーを観に行ってきました。
監督は『クリード チャンプを継ぐ男』のライアン・クーグラー。
これがなんと手がけた劇場映画3本目にしてマーベル映画で1、2を争うヒット、と言う快挙!
マーベル映画『ブラックパンサー』全世界興行収入10億ドル達成 ─ 公開から26日で | THE RIVER
ただし日本では…
公開初週末記録が293万ドル。同じく初登場の『映画ドラえもん のび太の宝島』の790万ドルに大きな差をつけられる形となり、週間ランキングでは2位を記録していた。
ドラえもん圧勝!w
まあ国民的アニメだもんね。しょうがない。
出演者がほぼほぼ黒人、監督も黒人、アフリカの架空のワカンダ王国が舞台。初の?黒人スーパーヒーローものという触れ込み通りの映画でした。
観終わってすぐの感想は、
ブラックパンサーというよりワカンダ王国の映画!
超人ヒーロー映画というよりスパイ映画!
隅から隅まですっごく良く出来た映画!
でした。
白人に対しての黒人、ではなく黒人が中心にいる黒人による映画。
黒人の苦悩や悲哀や怒りがメインではなく(含まれてはいるけど)、黒人王国の物語。
王国と言えばバーフバリ!wというのは冗談だけど、ワカンダ王国にも同じように、忠誠、裏切り、王位争奪、ロマンス、なんてのがちゃんと盛り込まれていて、これからいくらでも話を広げられそうなポテンシャルを持っている気がします。
もしかしたら黒人によるスター・ウォーズの始まり、みたいな感じすらあったかも(言い過ぎかw)。
あと、かなりスパイ映画してたのが楽しかった!
007でいう秘密兵器を開発するMはいるし、面白ガジェットやシステムもたくさん出て来るし、世界中にスパイを放っているし、韓国でのアクションシーンはミッションインポッシブルかキングスマンかって感じだったし。
悪役のキルモンガーがこれまた魅力的で(クリードの人)、しかも単純な悪いヤツじゃないという深い設定になってて。
ネタバレになるので書かないけど、よくあるいきなり出てきた都合の良い悪人、ではなく、物語的にこの映画の中心に位置する存在になってて、はっきり言って主人公の国王ティ・チャラはおまけっぽい感じすらあったw
てな具合に、まあ魅力的な要素が超てんこもりなのにきちんと整理されていてわかりやすく全然混乱しない、伏線もバッチリ、最後の着地も見事決まった!金メダル〜!っていう、ほんとによく出来ている映画だなあと思いました。
これはやっぱりライアン・クーグラー監督の手腕なんでしょうね。
でも…。
でも、何か物足りないというか、心に刺さらないというか、自分の好みに合ってないのか、90点以上なのは間違いないけど決して120点にはならないというか(わけわからんw)。そういえば『クリード』もすごく面白かったんだけどベスト!って感じじゃなかったなあ。
マーベル映画でいうと、個人的にはアイアンマンの1作目やアントマンのほうが好きかも(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは別格として)。
ちょっとスキのあるくらいの映画のほうが自分にはちょうどいいのかも。
なんてことを超カッコいいエンディングロールを見ながら思いました。
ーーーーー
- アーティスト: ケンドリック・ラマー& ザ・ウィークエンド& シザ
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2018/02/09
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログ (1件) を見る
観た映画:シェイプ・オブ・ウォーター
第90回アカデミー作品賞、監督賞とまさかのダブル受賞!驚きましたねー*1。
http://eiga.com/movie/87780/photo/
昔むかし、スピルバーグがオスカー狙いで?社会派な映画を撮り始めた時、ちょっと残念に思った記憶があります。
その頃の自分にとってアカデミー賞なんて特に面白いものでもなく、「そんなの狙わず面白いアクション作ってよ!」なんて気持ちでした。
今ではすっかり大人な気持ちで受けとれるようになったのでw、アワード系はお祭りとして楽しめてますし、観たい映画やドラマの参考になったりしてます。
ただ、去年のラ・ラ・ランドじゃなくてムーンライトが受賞したのもやっぱりちょっと違和感はあって、今年もたぶんスリー・ビルボードあたりになるんだろうな、と思ってたらデル・トロ祭りになっててちょっとビックリしたというか。
まあでも過去の受賞作品見ても何コレ感はあったりするしwやっぱりあくまでアカデミー賞はお祭りとして、ジミー・キンメルのへらず口とか、よぼよぼのウォーレン・ビーティwを楽しむのが正解なんだと思います。
そんなこんなで、仕事中にずっとツイッター横目にアカデミー賞の結果を見てて気分も盛り上がった状態だったので、業務終了と同時にソッコーで映画館へ向かいました。
以下、ネタバレ含むのでご注意を。
映画のあらすじ等は省略(町山さんの解説や他のブログが参考になります!)。
なるほど、これはオスカー取ってもおかしくない映画だなというのが最初の感想。
確かに、いきなりのオナニーシーンとか、マイケル・シャノンのトイレ&ケツ出し◯◯◯◯シーンとか、傷口に指ツッコミの引きずり回しとか、半魚人との◯◯◯とか、こんなの必要なの?wって思うシーンもありました(いや、こういうのがあるからこそのデル・トロ監督だし価値があるのでしょうけど)。
でも、映画を観終わって残った印象は、本当にロマンティックなラブストーリー、だし、美しいファンタジー、だったのでオスカーも全然ありだなと。
その要素としては、やっぱり主演のサリー・ホーキンスの素晴らしい演技がとても大きいなと思いました。なんでこれで主演女優賞取れなかったんだ?くらいの気持ち。
声が出ない人って設定もよく考えたなーと思いました。
サリー・ホーキンスの演技力がなけりゃ成り立たないと思うけど、セリフで伝えるよりずっと響くというか、感動的というか。
子供の頃、TVでチャップリンの「街の灯」を見たとき打ちのめされるくらい感動したんだけど、あれも目が見えないという設定があるからこその感動や悲しさだし、それを最大限に活かしたストーリーだったけど、この映画もちょっと近い感覚を受けたんですよね。
あと、美術。これは賞を取って当然かと思いました。
何というか画面の青や緑基調の色合いが全編に渡ってすばらしいし、60年代というポップでパステルな色のきれいな時代設定も相まって、細部に至るまでうっとり見とれるくらい良かった。濡れた床の見せ方ですら美しい。
あと研究施設の機械の動きとか、ボタンやメカの動きとか造形とかもコダワリまくってるのが伝わるし。さすがパシフィック・リムの監督!w
日本語字幕も黄色で、個人的には画面とマッチしてて良かったと思いました。
怪物と女性のロマンス(悲恋)を扱った名作映画はたくさんあるけども(キングコングとかザ・フライとか)、この映画はロマンスや希望の余韻を残して終わるのがオスカー受賞に繋がったのかも。
もちろん、町山さんが解説しているような、社会的メッセージ(移民問題、男尊女卑、性的人種的差別問題等)も含まれているというのもあったとは思いますが、映画としての楽しさ、ファンタジーという魔法が根本にあるのが、この映画の一番の良いところだと感じました。
個人的には、さほどデル・トロ監督の映画に熱狂してるわけでもなく理解度も低め、オタク度としては中の下くらいの属性なので「文句なし!最高でしたー!」ってテンションでは無いのですが、これまで観たデル・トロ監督作の中では一番良かったかも(まだ見てない作品たくさんありますが)。
---------
デル・トロ監督といえば。
*1:シェイプ・オブ・ウォーターとしては作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の4部門受賞