2018年7月に劇場で観た映画
7月のベスト表情w
ワンダー 君は太陽
ラブ・ストーリーとお涙頂戴映画(特に難病もの)は何となく苦手なので避けがち。全部乗せで来られるともうダメ。ほぼ間違いなく観ない。
でもワンダーはちょっと面白い作りの映画だった。主人公のオギーだけの物語ではなく、その周りの人たちも同列に悩んだり苦しんだりする姿を描いててビックリした。
ストレート投げると見せかけて思いっきり変化球。
と見せかけて、でもやっぱりストレート(どっちだよw)。
ニンジャバットマン
www.youtube.comかなりブッ飛んだアニメとネットで話題になってたけど、普段ジブリやピクサーくらいしか観ないような人なので、そのブッ飛び具合は正直よくわかってない。
確かにダイナミックで勢いは感じたし、バットマン+戦国自衛隊+ロボットアニメは確かに新しいし笑えたんだけど、新しい素材や盛り付けにこだわったけど、食べたら普通の味だったという感じだった(オッサンなので今の感覚にたぶんついていけてない)。
でも絵のタッチはカッコいいと思ったよ!日本のアニメはこのテイストでもっと作って欲しい。
焼肉ドラゴン
www.youtube.com予告編を観たときは「たぶん観ないリスト」に入れてたんだけど、時間がちょうど合ったので観てみたら結構面白かった。
でも、この両親でこの美人の三姉妹ってリアリティ無さすぎだよw
あまり陰鬱にならないように笑いを入れてサラッと描いているんだけど、なかなか厳しいお話。
今の時代にはもう残ってないかもしれないけど、差別される側だけど日本人になりたい(なるしかない)って気持ち、自分もほんの少しだけですが感覚的にわかる。
ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷
サブタイトル長い。 死霊館とどっちが呪われているか競ってる?w
実在するウィンチェスターハウスのことは知っていたので、ヘレン・ミレン演じる何かに取り憑かれた女主人の狂気を描いた映画なのかと思ったけど全然違った。むしろ女主人まともw
結局ウィンチェスターハウスというネタを使っただけの普通のホラー映画だった。不気味さで言えば死霊館の圧勝!
でも普通のホラー映画として観るとちゃんと面白い(かな?w)。
勝手に「今日はゲテモノ料理食べに来たぜ」ってよく調べもせずに店に入ったら、ちゃんとした普通の料理だった、という感じ。どこにもゲテモノ料理なんて書いてなかったw
ジュラシック・ワールド/炎の王国
ジュラシックシリーズとして、テーマパーク感を楽しみに来たお客さんの期待は全然裏切らない。特に前半の火山島からの脱出までは、ベタだけどとてもワクワクして面白かった。
球体の乗り物が崖から落下する時のブライス・ダラス・ハワードの表情がすごくて(トップに貼った画像)、なんて素晴らしい演技なんだと思ったら、ホントにジェットコースターのようなものを作って落として撮影したらしい(動画)。そりゃあの表情になるわw
トラックに乗り込み、アクセル全開からのフェリーへのダイブシーンも見せかた上手いなーっと思ったし、ホッとしたところで振り返ると逃げ切れなかった恐竜たちの姿がなんとも切なくて泣けた。前作に比べ恐竜寄りの映画になってた気がする。悪いのは人間!
て考えると、あのラストは納得。恐竜は悪くない!
あと…どうでもいいけどクリス・プラットは手で恐竜を制し過ぎ!w
ウインド・リバー
町山智浩さんがラジオ(たまむすび)で紹介していてるのを聞いて気になっていたので、仕事も早めに終わったこともあり公開日に観に行ってきました。
あまり話題になってないのか地元では1スクリーンだけ、東京でも4館くらいしかやっってないという扱いですが、もっとたくさんの人に観に行って欲しい!もったいない!と思うような良作でした!
※ネタバレしてます!
ワイオミング州ウィンド・リバー保留地。FWS(合衆国魚類野生生物局)の職員、コリー・ランバートは荒野のど真ん中で少女の死体を発見した。FBIは事件の捜査のために、新人捜査官のジェーン・バナーを現地に派遣した。自然の過酷さを甘く見ていたバナーは、捜査に難渋することとなった。そこで、バナーはランバートに捜査への協力を依頼した。2人は荒れ狂う自然と剥き出しの暴力に直面しながらも、ネイティブ・アメリカンの村社会の闇を暴き出していく。
あまり知られていないアメリカ先住民の厳しい現状を題材にした社会問題を扱った映画、とのことで正直観る前は「ちょっと疲れちゃうかもなあ」と少しネガティブな気持ちでした。
社会派な映画って少し苦手なんですよねぇ…。嫌でも厳しい現実を見せられがちじゃないですか。それなりに向き合う覚悟が必要だったりして。
社会問題を扱った映画と言っても、正統派ドキュメンタリーや人間ドラマ、マイケル・ムーアの突撃取材やサシャ・バロン・コーエンのドッキリコメディだったりと手法は様々ですが、サスペンスタッチものがたぶん多いですよね。
シリアスな題材との相性は良いので、そりゃまあそうなる気はします。
むしろサシャ・バロン・コーエンのような映画作るほうがよほど難易度高いかもw
この作品もクライムサスペンスとしてすごくよく出来ていて、終盤はもうドキドキさせられっぱなし!緊張感もハンパなかったです。
バディ・ムービー的な要素もあって、それもうまく物語に活かされてました。
事件を担当するために派遣されるFBI捜査官は、あまり現地のことを把握できてないノーテンキで頼りなさそうなエリザベス・オルセン(そういう見せ方をしている)。
そのバディを努めるのが、つらい過去を持つ現地のハンター。終始苦悩した表情が似合うジェレミー・レナー。
なんと二人ともアベンジャーズのヒーローコンビ!今回は弓矢じゃなく超強力スナイパーライフルだぜ!
http://lionsgateathome.com/wind-river
スーパーヒーローたちも最近は苦悩してますけども、ジェレミー・レナーは『ハート・ロッカー』でも苦悩する男をバッチリ演じてますし、今回の役も安定の苦悩っぷり?wでした。
エリザベス・オルセンのほうも意外とハマってて、女性捜査官という設定もレイプ事件に固執する理由になってるし、頼りなさげな門外漢がだんだんと現地の人たちの厳しさや苦悩に気づき、寄り添って、力強い存在になっていくとこも良かったです。
事件の真相の追い方、解き明かし方もすごくうまくて、うまく観客をミスリードさせつつクライマックスに突入していきます。
町山さんがラジオで「これは西部劇だ」と言ってましたが、確かに自分の身は自分で守るしか無い土地であるとか、保安官(捜査官)との追跡劇であるとか(トゥルー・グリッド思い出しました)なるほど確かに言われてみればという感じですが、西部劇に明るくないのでアレですが、自分は復讐劇としてこの映画を堪能しました。
差別され、抑圧され、大事な家族を奪われても泣き寝入りしかできない状況を丹念に描いて、最後にそれを爆発させるシーンのなんと爽快なこと(不謹慎ですみません)。
何台もの車を連ねて敵の本拠地にカチ込みに行くシーンでの俯瞰ショットとか、見せ方とか音楽とか、何か知らんけど気持ちが高揚するんですよね。
そして最後。ジェレミー・レナーの怒りの一撃が凄まじい。何そのライフルの威力は?これまで抑えに抑えてた怒りを開放するかのような、とんでもない威力でねじ伏せます。マジであのライフルには唖然としました。なんというカタルシス!
そして首謀者にはじっくりと苦しみを与え復讐を果たします(ネタバレごめんなさい)。
この映画、ファーストシーンは何かワケあり風に見せてるけど、最後に状況を明かされた時、あのファーストシーンの重みが出てくるようになってて、たぶん二度目に観るとあのシーンの見え方が全然違ってくるんじゃないでしょうか。
For me @WindRiverMovie is about all the missing Native American women #WindRiverArt creative brief entry https://t.co/PFFV2JC3Z7 @PosterSpy pic.twitter.com/ynAJhuemXz
— AltoMedia (@AltoMediaSocial) August 28, 2017
彼女は戦士だった。彼女は6マイルも走ったのだ。
ズッシリきます。
以前、感想を書いた『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』や『デトロイト』なんかがそうなのですが、悪の正体が不明瞭だったり、わかっていてもどうすることも出来ないという幕引きは確かに考えさせられるんだけど、すごく重たいものが残っちゃうので正直キツいんですよね。モヤっとすると言うか(それこそが作り手の狙いなんでしょうけどもちょっとズルい気もしたり)。
その重いテーマに興味を持ってもらう手法はサスペンスだったりホラーだったり(あるいは笑いだったり)という映画ならではのエンタテイメントを用いているので、なんだか複雑な気持ちになっちゃうんですよね。
この映画に関しては、復讐劇という主人公にも観客にも溜飲の下がるエンタテイメントにしているので、ある程度は重たい気持ちが緩和されます(だからといって根本の問題解決にはなってませんが)。
自分的には映画としても、問題提起としても、ちょうど良いバランスじゃないかと感じましたが、この辺は人によって全然感じ方が違っちゃうんでしょうね。
あ、今思い出したけど復讐劇と言えばタランティーノでしたね。
アメリカが見ようとしなかった黒人奴隷をテーマにした『ジャンゴ 繋がれざる者』も(最後は)大変スカッとする復讐劇でした。
まあでも、西部開拓時代に入植者たちに追われて、今では保護区に押し込め存在すらしてないかのような扱いを受けている先住民の方たちを、西部劇の手法で世に知らしめるというのも皮肉の効いた映画ですよね。
そうそう、皮肉といえば、レイプを扱った映画なのに、最後のスタッフロールのところでワインスタインの文字が出てきて(たぶんハーヴェイではなく弟さんのほうだと思いますが)驚くと同時に笑っちゃいました。これも皮肉?
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監督のテイラー・シェリダンはこれが初監督作品なんだとか。
脚本を手がけた映画はこちら。今ならAmazonプライムビデオ対象。
ジム・ジャームッシュの呪縛から少し解けた/パターソン
呪縛というのは大げさですね。勝手に自分で自分を縛ってただけなんですけどねw
ジム・ジャームッシュ監督といえば、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』。あと『ダウン・バイ・ロー』。そのタイトル名や監督名を聞くと、今でも少し凍りつきます。
公開当時、ちょうど思春期で意気がっていたアホな若者のひとりであった私は、当然飛びつきました。だって「カッコいい」映画だったから。まあ、ファッションとか流行りとかそんな感じです。
信じられないことに、当時、都会の一部の人たちだけがこの映画を囃し立ててたわけじゃなく、地方のド田舎でもこぞって「カッコいい」と評判になったんです。少なくても私の周りでは。こんなわかりにくい映画がですよw
熱狂的にハマるやつもいて、当然ファッションやスタイルを真似るヤツまで現れました。監督のジム・ジャームッシュもパンクスみたいな風貌でカッコよかったですしね(ジェームズ・コバーンに似てるとも思いましたがw)。
そして、当時オシャレで最先端なこの映画が「わからない」とはとても言えない空気が蔓延してました。当然自分もよくわかってないくせに「カッコいい」を連発してました。今思うと凄く恥ずかしい、あの頃の黒歴史をどうしても思い出してしまうんです。
今の時代、映画観るのにこんなバカみたいな見栄はもう無いと思うし、何それ?って思うかもしれませんが、あの頃はそういう空気が割とあったんです。いや私の周りだけだったのかもしれませんが(笑)
ジム・ジャームッシュはあれから定期的にずーっと映画を作ってますが、永瀬正敏と工藤夕貴(割と好きだった)が出演した『ミステリー・トレイン』を最後に、ずっと監督の映画は観てません。黒歴史を思い出したくなかったから。
こんな過去の恥ずかしい思い出をブログに書けるようになったのは、成長したんでしょうかね、自分w
去年、『パターソン』がネットでも高評価だったので気になってました。
でもやっぱりちょっと抵抗があって少し避け気味だったんですが、DVDレンタルもされ時間もだいぶ経ったし、こそっと借りてみました。
ストーリーらしいストーリは無く、パターソンに住むパターソンさんの月曜から日曜までの一週間を淡々と見せていくという映画。まあ、相変わらずわかりやすいエンタメ映画ではないですし、淡々とした眠くなる映画なのは変わらないなあという印象ですが、やっぱり映像がカッコよくてオシャレでした。
オシャレというのはちょっと違うか。計算されたアートのような画面で、ウェス・アンダーソンと同じようなこだわりがひしひしと感じられますよね。
昔との一番の違いは、とんがった雰囲気がまるで無くなってたとこ。ジム・ジャームッシュ監督もトシ取って丸くなったんでしょうか。もうひとつ意外だったのは、クスっと笑えてほんわかした気持ちになれる映画だったこと。もう、昔の作品の内容はほとんど憶えてないですが、こんな笑い要素あったっけ?
それにしてもアダム・ドライバーがほんといい味出してますよね。
こういう人に私はなりたい。
流行を追い、なんでも中途半端にかじっては捨て、奥さんとはしょっちゅうケンカする自分からすると、こんな人に憧れすらあります。毎日を淡々と好きな詩を書いて満足する。仙人みたいな人。
どちらかというと奥さん?恋人?のローラのちょっと痛い感じを自分に重ね合わせていたたまれなくなったりしましたw
ローラは毎日部屋の模様替えや壁のペイントをしてて、しかも草間彌生のようなパターン好きとくるもんだから、最初、ローラは心に傷を追って社会に出られなくなった悲しい人なのかと思ったくらいでした。
そんなローラを本当にやさしく包み込むパターソンですが、後半ある大ショックな出来事に見舞われます。この映画で一番大きな出来事かも(でもクスッと笑えるんですが)。
そんな中にあっても、やっぱり彼は人やモノに当たり散らすこともなく、感情的になることもなく、また希望を見いだします。仙人か。
私の中にこんなアメリカ人は存在しませんw 感情を出し、ぶつけ合い、それで相手を知り尊重するというのがアメリカ流だと思ってたので。
まるで日本人のようなストイックさだなあと思ったのですが、ここで永瀬正敏の登場です。いやー、ミステリートレインを思い出してちょっとグッと来ましたよ。
そういえばジム・ジャームッシュは小津安二郎の東京物語が好きだったり、パターソンも日本的な感覚を取り入れているのかもしれませんね。
少しだけ、ジム・ジャームッシュの呪縛から解けそうなので、過去作も(気力があったら)観てみようかと思いました。観てよかったパターソン。
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余談
ストレンジャー・ザン・パラダイスで知ったスクリーミン・ジェイ・ホーキンス。
もうお亡くなりになってしまいましたが、横浜の小さなクラブで生ライブを観に行った事があります。棺おけ芸に大爆笑しましたが、高齢なのにメチャパワフルでカッコよかったです。劇中に使われている「I Put Spell on You」はたくさんのアーティストがカバーしてますよね。
Constipation Blues(便秘ブルース)なんてとんでもない曲もありますw 最後まで聞くと爆笑できますので興味ある方は探してみて下さい。
- アーティスト: Screamin Jay Hawkins
- 出版社/メーカー: Rhino
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こんな芸風の人です。もしかしたらこの人に呪われてたのかもw
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