こんなに面白い映画だったのね、男はつらいよ!
最初に謝っておきます。
本当にごめんなさい。
恥ずかしながら、この歳になるまで、まともに寅さんの映画を見たことなかったんです。
もちろん渥美清や倍賞千恵子が主演で、どういうお話かってのは知っていたけど、ちゃんと1本を最初から最後まで見たことなかったし、そもそも洋画かぶれの少年〜青年時代を過ごした自分にはこれまで全く興味がわかなかったんです…。
でも、歳取ると味覚や興味の対象が変わるって言うでしょ?あれ、本当なんですね。今、身を持って実感していますw
あっさりした食べもの(肉よりも漬物とか)好きになるし、若い頃は退屈でしかたがなかったのにお寺とか神社とか気になったりするし。
若い頃は東京でも、新宿、原宿、渋谷ばっかりだったのに、今は新橋の飲み屋とか浅草とか下町歩いている方がずっと楽しい、とかね。
で、今年の夏頃に江戸川区のほうに用事があって、ちょっとした空き時間で柴又観光してきたんですよ。まったく寅さんに興味なかったのに。
浅草と違ってあまり人もいないし、駅から参道歩いて帝釈天までの空間がとても楽しかった。
順番逆だけど家に帰って、じゃあ寅さんでも見てみるか、ってw
NETFLIXでもAmazon Primeでも今はぜーんぶ揃ってるので、見始めたらもうとまらないくらいこれがまたホント面白い!
こんなに笑えて泣けて、心優しくなれる映画だったんだ。
ほんと恥ずかしいけど、今頃気づいてごめんなさい。
でもね、まだ23作目までしか見られてない。全部で48作もあるんだよ、これ。
あれだけ見たのにまだ折り返し地点にも到達してないとはw
1969年から始まって、1995年(特別編は1997年まで)ほぼ、ずーっと同じ出演者で続いているギネスにも載っているとんでもないシリーズ。
これをリアルタイムでかかさず見てきた人には、すべてにおいてかなわないけど、でもお手軽に全部一気に(見ようと思えば)見ることが出来る今の時代はスゴイよね。
これって一種のタイムマシンみたいなもんだと思う。
この映画に入り込む事によって、色んな時代にタイムトラベル出来るという意味で。
リチャード・リンクレイター監督がビフォアシリーズや「6才のボクが大人になるまで」でやったこともスゲーと思ったんだけど、寅さんはもうずっと前からやってたんだな。ほんとスゴイ。
でも、最初の頃の作品はちょっと難があって、寅さんが妹のさくらに手を上げたり、その時代ならではのとんでもない描写があったり、今の感覚で見ると素直に笑えるばかりじゃないんだけど、でもそれもこれも含めて面白い。
ここまでざっと見てきた23作。
自分が特に良かったと思ったのは、
17作目「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」と、
23作目「男はつらいよ 翔んでる寅次郎」かな。
「夕焼け小焼け」は、寅さんが宇野重吉扮する汚い爺さんの面倒を見てやったら、なんと巨匠の絵描きだったってお話で、寅さんがその巨匠に対してなんの引け目も感じないどころか、人助けをしないのかって怒るシーンがあって、でも最後は寅さんの思いが伝わって…最後には心が豊かな気持ちになれた。
あと、この前に見たばかりの「翔んでる寅次郎」はタイトルからもわかるようにちょっとこれまでから少し世の中が変わったんだなと感じられる内容だった(1979年作なのでやはり時代の変わり目だし)。
桃井かおりが新しい女性の価値観で悩んでいたり、でも最後はすっごく泣ける話になってたり。
何となくだけど、寅さん映画のピークって、75年から85年あたりまでなんじゃないかなあと思ってる。
後半は渥美清さんも病気でつらかったそうだし、どんどん輝きが失われていくんだろうなあと考えると、今見ているあたりが一番楽しいところなのかも。
実はさっき書いたように、タイムマシンの特性を活かして、最初の何話かを見たあとに、いきなり最後の特別編を見ちゃったんだよね。どうなってるのか気になって。
もうね、なんか別ものの映画になってたし、寅さんも見てて痛々しかった…。
そういうのがわかった上で、今この絶頂期の寅さんを見られるのがまた何ともありがたいというか、輝いて見えるというか。
なんだかドゥニ・ビルヌーブ監督の「メッセージ」に通じるなあ、とか(何を言っているのか意味不明だと思いますがw)
と、まあ色々考えちゃうとこもあるけど、ほんとストレートに笑って泣いて、そしてどことなく侘びしくなったり、ほっこりしたり、極上のエンタテイメントだなと思います。
あ、ただ途中から映画の冒頭に必ず入ってる「夢」の部分、あれはいらないかなあw
----------
一応こちらもリンク貼っときますw