ファントム・スレッド
この前、敬愛するふかづめさんの面白くてためになる映画ブログ『シネマ一刀両断』のコメント欄でジョン・ヒューズ監督の『大災難P.T.A』の話を出したのをきっかけに、Amazonで検索したらDVDが新品なのに送料込みで679円で売られていたのを見つけ、思わずポチってしまいました。
いやー懐かしい。ジョン・キャンディがちょっとイラっとする役なんだけど最後は何故かほっこり泣かせる映画なんですよね。
今でも普通に1000円以下で買えます。でもわざわざこれ買う人ってあんまりいないだろうなw
ちなみにタイトルのP.T.A.というのは、Planes(飛行機), Trains(電車) and Automobiles(車)という原題の頭文字を取ったものなんだけど、いわゆる学校のPTAとはまったく何の関係もありません。しかし、よくこんなタイトル付けたもんだw
で、もう気づいている方もいるかも知れませんがwこのどうでもいい前振りはファントム・スレッドの監督、ポール・トーマス・アンダーソンがいたるところでPTAなんて略されたりしてるから、というだけで思いついて書いただけです。ごめんなさい。
でもまあ確かに長いし書くの面倒ですよね、ポール・トーマス・アンダーソン。
なので私も以下、PTAって書くことにします。
大災難のことでも学校で活動するペアレンツの事でも無いのでご注意ください。
『ファントム・スレッド』
アカデミー賞にも色々ノミネートされてたし、話題になってましたね。
舞台は1950年代のイギリス。上流階級向けのドレスをせっせと作る著名なデザイナー、ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)が主人公。
さすがに衣装デザイン賞なんてのを受賞してるだけのことはあって、上流階級の優雅な衣装や美術セットの豪華さがハンパないです。俳優たちの身のこなし方、食事や会話の仕方も、毎日味噌汁と納豆を慌ててかき込んで出勤する我々日本の庶民には想像もできないような世界で思わずうっとりとする、、、何てことはもちろんなくw PTA監督らしい意地悪で異常な世界をこれでもかと見せてきます。いくら優雅で美しい世界でもここに住むのはいやだなあと思わずにはいられません。
「で、どんなストーリーなの?」って聞かれても正直なんて答えて良いのやら。ホント何を観せられたのかよくわかりませんw
簡単に説明すると、とても神経質で、自分勝手で、自信満々で、偏執的なまでにこだわりを持った男(でもマザコン)という主人公のダニエル・デイ=ルイスがレストランで気に入った女性をたらしこんでみたはいいけど、どんどん生活を乱され、最後はこてんぱんにやられちゃいました。でもそれもまた良し。めでたしめでたし、というお話でした。なんだそれw
「じゃあつまんないの?」と言われるとそんなことはなく、ずーっと続く変な緊張感に引き込まれるように最後まで見入っちゃいました。
でも、どこが良かったのかうまく説明できないんですよね…。いったい何なんでしょうw
正直、PTA監督の映画はよくわかんないけど不思議な面白さのある映画が多いという印象です。過去作はこんな感じ。
・Sydney (1996年) 監督・脚本
・ブギーナイツ Boogie Nights (1997年) 監督・脚本・製作
・マグノリア Magnolia (1999年) 監督・脚本
・パンチドランク・ラブ Punch-Drunk Love (2002年) 監督・脚本・製作
・ゼア・ウィル・ビー・ブラッド There Will Be Blood (2007年) 監督・脚本・製作
・ザ・マスター The Master (2012年) 監督・脚本・製作
・インヒアレント・ヴァイス Inherent Vice (2014年) 監督・脚本・製作
・ファントム・スレッド Phantom Thread (2017年) 監督・脚本・製作・撮影
『Sydney』と『インヒアレント・ヴァイス』の2本以外はとりあえず観ました。
『ブギーナイツ』、『パンチドランク・ラブ』は自分的にはわかりやすくて感動すらした凄い映画でしたが、『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『ザ・マスター』は正直良くわかんないとこも多く、何が言いたいのかよくわからなかった印象です。この『ファントム・スレッド』もどちらかというと後者のほうかな。
何かにとり憑かれた男という点では『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』ぽいなーと思ったのですが、『パンチドランク・ラブ』のような、普通の人からは理解されない変態的な愛の形を描いたラブ・ストーリーでもありました。
で、そこでいつものように町山智浩さんの解説が公式ページにリンクされているYouTubeにあったので聞いてみました。なんとPTA監督に直接インタビューした上で解説してます。
※動画や以下はネタバレしてますのでご注意を。
この解説を見ると、PTA監督に親近感湧きまくりです。
なるほどねー。恋人や夫婦によくある「どっちが主導権を取るか」、という誰でも経験した憶えのあることをテーマにしていて面白いなあと思いました。確かにそういう映画でした。
でも、なぜこのゴージャスな世界観で、どこにでもあるような男女の小さな主導権争いを組み合わせようと思ったのか。イギリスの上流階級の世界になぜ味噌汁納豆を持ち込むのかw
普通に観てると混乱するというか、なんだこれ?になっちゃうんだけど、それこそがPTA監督の魅力なのでしょうかね。
理解不能な人々の行動を描きつつも、なぜかすごく惹きつけられてしまうのは何故なんだろう?と少し考えてみたのですが、画面の力なんですかね?過去作を思い出してみても、独特の画面の雰囲気が印象に残ってます。
少なくてもこの『ファントム・スレッド』の画面の作り込みは凄かったです。安っぽさ一切なし。
でもなあ。やっぱり自分的にはPTA監督作はあたりはずれがある気がする。今作ははずれでもないけどあたりでもない中間くらいな感じかな。
果たして、主人公のウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は 、このあと創作活動に戻れるのか?それともただの人に戻っちゃうのだろうか?それともそんなことはどーでも良いのだろうかw
着地が自分の思ったのと違ったのかなあ。
色々書いてて、なぜか『パンチドランク・ラブ』をもう一度観たくなっちゃいました。あれは共感できたんだけどなー。
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余談。
町山さんのビデオ解説を聞いててビックリしたことがいくつか。
PTAのパートナー(婚姻はしてないけど実質奥さん)であるマーヤ・ルドルフさんは、あの『ブライズメイズ』の人だと知ってビックリ!コメディの人と、こんな気難しそうな映画撮ってる監督の組み合わせがちょっと意外でした。
しかも、このマーヤさんのお母さんがあのミニー・リパートン!マジか〜w
はー、まだまだわからないことがいっぱいあって面白いですね。
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超下品だけど最高に楽しい映画。オススメです。
言われてみれば面影があるかも。このCD持ってました。
永遠の詩/THE BEST OF MINNIE RIPERTON
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PTA監督の過去作だとこの2本が個人的にオススメ。特にブギーナイツは最高でした。